研究概要 |
パンサラッサ海域下でスーパープルーム活動が認められ,さらに地球規模での気候期転換があったとされる前期ペルム紀の環境変動・礁生物群集変遷を明らかにする目的で,その連続記録が保存されていると考えられるパンサラッサ海洋島石灰岩のコア掘削採取を行った.掘削は,秋吉台真名ヶ岳付近(帰り水ドリーネのすぐ東側)で平成18年度に実施したGS-MN-1(真名ヶ岳コア:掘削長100m)の孔を用いて,孔底から150m(孔口から深度100-250m)掘進した.掘削地点は国定公園第2種特別地域に相当するため,掘削は国定公園特別地域内の土石採取等の許可を得た上で実施した.86mm径のサンプラーを使用し回収率はほぼ100%だったため,良好なコア試料を採取できた.詳細な層序学的検討はこれからではあるが,掘削予定地域には変位の大きい断層はなく,地層は完全に逆転してはいるもののほぼ平坦に分布することが知られているため,今回の掘削により本研究の対象となる前期ペルム紀の石灰岩連続コア試料を採取できたものと思われる.コアは詳細な堆積相観察をするため全深度にわたり半割した.半割作業過程で行った予察的な観察では複数の層準で陸上露出を示唆する黒色石灰岩やペンダントセメントが認められ,保存も良好であるため,次年度以降の詳細な堆積学的検討及び古生物学的・地球化学的検討にも堪えうるものと考えられる.またコア以外でも,前期ペルム紀パンサラッサ海洋島の礁生物群集について,既存文献調査および独自の野外調査により得たデータをコンパイルし,この時期に礁生物群集が石灰藻類卓越群集から海綿類卓越群集へと変化したことを明らかにした
|