研究課題
2011年度は、秋吉台真名ヶ岳付近で掘削採取した下部ペルム系石灰岩のボーリングコア試料(真名ヶ岳コア;本研究での掘削は深度100~250m区間)の観察・岩相記載・時代決定に主眼を置いて研究を実施した。コア試料は全深度(150m長)をコアカッターで半割し、半割面を希塩酸でエッチングする前処理を行った。その後、コア試料をルーペを用いて観察し、2分の1スケールでスケッチしながら石灰岩の岩相および含有する礁生物化石の詳細な記載を行った。またそれぞれの岩相ユニットを代表する部分および年代決定に重要なフズリナ化石を含む部分の岩石薄片を作成した。それらの観察の結果、コア試料の時代は前期ペルム期アルチンスキアンが主体であること、被覆性微生物を主体とする原地性礁石灰岩が多産すること、岩相は比較的変化に乏しいが複数の堆積サイクルが認められ、若い時代のサイクルには干潟堆積物が含まれることなどが明らかになった。また真名ヶ岳コアの浅部(最後期石炭紀グゼリアン期~最前期ペルム紀アセリアン期)及び広島県の帝釈石灰岩の露頭(グゼリアン期)から石灰藻Palaeoaplysinaを主体とする礁石灰岩を、また同じ秋吉台の帰り水学術ボーリングの中部ペルム系から石灰質海綿を主体とする礁石灰岩を見いだした。これらをもとに、パンサラッサ海の海洋島では前期ペルム紀に礁構成主要生物がPalaeoaplysinaから石灰質海綿へと大きく変化したこと、そのタイミングはゴンドワナ氷床の衰退、氷室期から温室期への転換、そしてパンサラッサのスーパープルームの活動時期と概ね一致することを国際誌に発表した。
2: おおむね順調に進展している
国定公園内でのボーリング調査許可申請(岩石採取許可申請)に始まり、実際のボーリングコア掘削採取、コア全深度の半割・エッチング処理、コア観察、岩石薄片作成など、本研究の根幹であり、かつ最も作業に時間がかかるプロセスをほぼ終了することができた。
研究のベースとなるコア試料の岩相観察、年代決定、堆積サイクルの認定に関して見通しが立ってきたため、今後はそれらの確定作業を行うとともに、石灰岩試料の同位体分析および化学分析をすすめる。また研究成果は随時とりまとめ学会発表や論文発表を積極的に行う。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (4件)
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