研究課題
オホーツク海サハリン島沖(2010年6月)およびロシア・バイカル湖(同9月)にて、ガスハイドレート結晶(GH)の採取に成功した。しかしながら、いずれもロジスティックス上の問題があり、オホーツク海では液体窒素容器を使用できず、またバイカル湖からは未だに試料を日本に向けて発送できない状態におかれている。したがって、新しい天然試料の結晶解析ができておらず、平成22年度は現地で採取されたガス試料の組成分析・安定同位体分析を主体として実施した。まず、オホーツク海ではサハリン島北東沖のLavrentyev海底断層南側の新領域で初めてGHが採取された。ガス組成は断層北側の従来のものとほぼ同じだが、メタン・エタンの炭素同位体比はより小さいことから、堆積物表層の活発な微生物活動で作られた炭化水素ガスをGHが取り込んでいると推測された。一方、バイカル湖でも計6地点でGHが採取され、うち5つは新地点である。中央湖盆南側のKukuy K-10泥火山では、ハイドレート解離ガスから高濃度のエタンを検出し、結晶構造II型の存在が示唆された。中央湖盆北側のGorevoy Utesオイルシープ域では原油の混じったGHが採取されたが、ガス組成分析の結果、ハイドレート解離ガスにはエタン・プロパン・ブタンなどの炭化水素はほとんど入っていないとみられ、結晶構造I型であると予測された。また、バイカル湖の構造II型GHや日本海上越沖の海底堆積物中で見つかっているネオペンタンなど、ブタン・ペンタンを包接した人工GHを作成し、PXRD分析およびラマン分光分析が行なわれた。現在はデータの解析中であり、2011年7月に英国Edinburghで開催されるガスハイドレート国際会議にて発表予定である。
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Physics and Chemistry of Ice 2010, 12th International Conference on the Physics and Chemistry of Ice, 5-10 September, 2010, Sapporo
ページ: 197-202
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巻: 30 ページ: 427-437
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