研究概要 |
コンドリュールの成因と冷却速度は、原始太陽系星雲モデルに重要な制限条件を与えるものである。冷却速度については、Dynamic crystallization experiment生成物の形態等を実際のそれと比較することで多くの研究がなされてきたが、この実験的方法では、冷却速度の「可能性」を示すだけで、実際のコンドリュールの冷却速度を示すものではない。本研究では、熱変成度の最も低い隕石中のカンラン石のFe-Mgゾーニング・プロファイルを用い、結晶成長も考慮し、冷却速度を求め、実際のコンドリュールの冷却速度範囲を決定する。この結果を用い、原始太陽系星雲モデルの検証を行う。さらに、母天体での二次的な熱変成を受けている隕石について同様の計算を行い、その熱変成の温度範囲と冷却速度を求め、隕石母天体モデルの検証を行う。 本年度は,熱変成程度の低い隕石のコンドリュール中のカンラン石のFe-Mg化学的ゾーニングを測定し,そのデータについて、主に拡散方程式を数値的に解く方法を用い,冷却速度と母天体内での熱変成温度と冷却速度を計算した。これらの結果,コンドリュールの種類によって,冷却速度の異なることが明らかになった。また、母天体での熱変成温度の情報も得られた。 これらの計算のために、複数コアのCPUを備えた計算機を購入し,既に作成済みのプログラムについて、並列化プログラミングを試み、並列化しない場合と計算速度を比較したが、10%程度早くはなるものの、画期的な高速化とまではいかなかった。さらなる高速化をめざし、繰り越し予算分でGPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)を購入した。関連するソフト等を整備し、高速化の可能性等について検討中である。
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