研究課題
隕石中のコンドリュールの成因と冷却速度は、原始太陽系星雲モデルに重要な制限条件を与える。冷却速度については、結晶化実験生成物の形態等を、実際のそれと比較することで多くの研究がなされてきたが、この実験的方法では、冷却速度の「可能性」を示すだけで、実際のコンドリュールの冷却速度を示すものではない。本研究では、始原的隕石中のカンラン石の化学的ゾーニングを用い、結晶成長も考慮して、実際のコンドリュールの冷却速度を決定し、原始太陽系星雲モデル検証のための条件を提示する。さらに、母天体内で二次的な熱変成を受けた隕石についても、熱変成の温度と冷却速度を求め、隕石母天体モデルの検証も行う。コンドリュール形成後、ほとんど変成を受けていない普通隕石と炭素質隕石のコンドリュール中のカンラン石のFe-Mgゾーニングを測定し、そのプロファイルデータを用い、拡散方程式と諸条件を数値的に解く方法で、コンドリュール生成時の冷却速度を求めた。同じ隕石中のいろいろなコンドリュールについての結果は0.7-2400 oC/hrと幅広い値であった。同じ隕石内のコンドリュールの冷却速度が非常に異なることから、原始太陽系星雲内で、多様な冷却速度でコンドリュールが形成され、その後、同一隕石として集積したという重要な結果を得た。これは、コンドリュール形成条件のみならず、原始太陽系星雲形成に制限条件を与えるものである。さらに、隕石母天体内での熱変成温度と冷却速度を求め、岩石学的タイプ3の最高熱変成温度が約600 oCであることを示した。これらの計算に使用された一連のプログラムについて、多くの研究者が容易に使えるような新たなプログラムパッケージを作成し、その試用版を7-8名の研究者に試験的に配布し、意見の聴取後、パッケージを改定した。また、演算の高速化のため、並列化の試みも行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. 45th ISAS Lunar and Planetary Symposium
巻: 45 ページ: 45-03_Miyamoto
Antarctic Meteorites
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Lunar and Planetary Science
巻: XLII ページ: #1082