研究課題
フィリピン海プレートが沈み込む西南日本弧では、スラブの部分溶融が起源とされる、アダカイトが多く観察されている。その延長上にある位置する九州地域の火山フロントでは、北部でアダカイト質マグマが卓越し南部に向かい非アダカイト質マグマが卓越する島弧縦断方向変化が認めらる。これらアダカイトの成因については,我々は,沈み込むスラブの部分溶融であると考えていた。しかしながら,Zellmer et al. (2012)は下部地殻条件下での玄武岩質マグマの結晶分化によって,西南日本および九州のアダカイト質マグマの初生マグマが生成されたというモデルを提唱した。これに対し,本研究では,九州の火山フロントに沿った火山の主要・微量元素組成,及び,Sr-Nd-Pb同位体組成を測定し,先行研究で得られていたデータと合わせ,スラブの部分溶融と高圧下での玄武岩マグマの分化のどちらの機構が,本研究対象地域のアダカイト質マグマの成因として妥当であるか,再検討した。同位体組成からは,従来の我々の主張のとおり,アダカイト質マグマの起源物質は,沈み込むフィリピン海プレートとその上に堆積した堆積物であることが確認された。また,マグマ上昇過程で,複数の同位体組成の異なる地殻物質による汚染を受けていることも晃差になった。さらに,対象地域で観察される玄武岩質マグマは,島弧の玄武岩としてはSr/Y比が高く,Zellmer (2103)で提唱された,高圧下でザクロ石安定な玄武岩マグマからの分化物である可能性である可能性が見出された。しかしながら,これらの玄武岩マグマの分化経路とは異なる化学・同位体組成を本地域のアダカイトは示すことも合わせて明らかになった,従って,本地域のアダカイトは,スラブの部分溶融によって九州のアダカイトは発生した可能性が高いことが示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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