本研究の目的は高強度パルスイオンビームの応用の1つである炭化珪素(Sic)やダイアモンド等の超硬半導体へのパルスイオン注入の実用化である。そのためにはイオン注入に適用が可能なパルスイオンビーム(イオン電流密度及びイオン純度)の実現や基礎的なデータ収集が必要である。そこで、これまでの研究成果に基づき、窒素イオンビームをシリコン基板に照射し、照射効果を検証した。また、SiCのp型ドーパントとして期待されるアルミニウムイオンビーム発生を目指して、細線放電イオン源を開発してその特性評価を行った。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)窒素パルスイオンビームの照射実験 パルスイオンビームの照射効果を検証するためにガラス基板上に生成されたアモルファスシリコン薄膜にイオンビームを照射した結果、アモルファス薄膜が多結晶化しており、パルスイオンビームによる照射効果を確認した。 (2)アルミニウムイオン源の開発 実験の結果、これまで使用してきた真空アークイオン源と比較してイオン発生の安定性が向上し、出力も100A/cm^2を超えるイオン電流が得られることが確認され、パルスビーム源として応用が可能であることを確認した。今後は加速ギャップに組み込み、加速実験を行う必要がある。
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