研究概要 |
近年、インジウムは数多くの産業において利用されている。化学分野では、インジウムとケイ素を組み合わせた新しい触媒が最近発見された。単体のインジウムまたはケイ素化合物には触媒特性がなくても、両者の相互作用により高い触媒活性が発現する場合があることが分かっている。しかしながら、この触媒には2つの難点がある。ひとつは溶媒中に溶解して合成されるため、やや面倒な分液操作や分離操作が必要なことである。2つめは、インジウムは希少金属であるにもかかわらず、この方法では使用後の触媒(インジウム)の回収が困難なことである。 本研究では、申請者のもつプラズマ技術を活用し、また有機化学者との連携により、これらの問題を解消したインジウム系触媒を開発すること、および得られた触媒の特性評価を行うことを目的としている。 本年度は、昨年度までに行ったインジウムイオンビーム生成技術を活用し、イオンビームを酸化ケイ素基板へと照射する実験を行った。昨年度までは、制御できるパラメータは、照射イオンビームのドーズ量(総注入イオン数)だけであったが、今年度は入射エネルギーを制御できるように改良した。これらのインジウム照射基板の表面状態をXPS,XRD,AFMを用いて解析した。その結果、基板表面にインジウムが存在していることを確認した。また、これら基板の触媒特性を評価した。実験の結果、触媒特性が入射エネルギーに強く依存する(触媒発現に敷居エネルギーが存在すること)を発見した。
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