研究課題/領域番号 |
22540508
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
斉藤 学 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60235075)
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研究分担者 |
春山 洋一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00173097)
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キーワード | 中性粒子検出 / マイクロチャンネルプレート / 検出効率 / 電子捕獲衝突 / 飛行時間分析 / 反跳イオン |
研究概要 |
開発した、中性粒子に対するMCPの検出効率測定法のテスト測定を行った。中性粒子に対する既存のデータがほとんど存在しないため、0.6-6keVのAr^+イオンに対する絶対検出効率を本測定法を用いて測定し、それを過去のデータと比較した。その結果、測定誤差の範囲内で両者は一致し、本測定法の信頼性が確認された。 次に本測定法を用いて、0.5-4.8keVのNe、Ar、Kr、Xeの中性粒子に対するMCPの絶対検出効率を測定した。測定誤差は5%以内である。その結果、以下の2点が明らかになった。(1)どの中性粒子についても、検出効率は低エネルギーから増加し、あるエネルギーでMCPの開口率(約50%)に達し、それ以上のエネルギーでは開口率で一定になる。(2)開口率の値に達するまでの検出効率の値は中性粒子の種類に依存し、中性粒子の質量が軽いほど検出効率は大きくなる。 これらの検出効率に対して、一定のスケーリング則が導き出せれば、それは絶対検出効率の簡便な導出に非常に役立つ。MCP表面から放出されるイオン誘起2次電子は、イオンのMCP素材に対する電子的阻止能に依存するであろうという予測の下で、電子的阻止能に対するLSS公式を用いて測定データのスケーリングを試みた。その結果、測定されたすべての絶対検出効率は、LSS公式でひとつの関係にスケーリングされることがわかった。 課題として、水素やヘリウムなどのより軽い元素の中性粒子や金属中性粒子の検出効率に対して、このスケーリングが成り立つかを確認する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希ガスの中性粒子に対するMCPの絶対検出効率の測定と、それに成り立つスケーリング則を見いだすという目的は達成できた。一方、金属中性粒子に対する検出効率測定がまだ行われておらず、未達成な課題として残っている。
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今後の研究の推進方策 |
金属中性粒子に対する検出効率および水素やヘリウム等のより軽い元素に対する検出効率の測定を行い、スケーリング則が成り立つことを確認する。本年度見いだしたスケーリング則が成り立たない場合が見つけられて場合には、さらに考察を深め、あらたなスケーリング則を見いだす。
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