研究課題/領域番号 |
22540509
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
荒木 圭典 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90299181)
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研究分担者 |
三浦 英昭 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40280599)
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キーワード | ウェーブレット解析 / 可視化 / 電磁流体力学 / 乱流のエネルギー輸送 / プラズマ物理学 |
研究概要 |
平成23年度は、研究の対象を電磁流体力学におけるエネルギー伝達の定量的評価を目標において、Hall電磁流体の数値シミュレーションによって得られた時系列データを用いて、解析を進めた。 数値シミュレーションの結果得られた時系列データは、磁場の散逸率を基にして正規化を行うと、磁場、速度場ともにエネルギースペクトルの函数形が時刻に依らず、ひとつの普遍的な函数形を満たしていることが分かった。これより解析対象となる磁場ならびに速度場は一種の普遍平衡な状態を満たしながら「自己相似的」に減衰しているものと考えられる場であることが明らかになった。したがってこれらの時系列データの時間変化を追えば、Hall電磁流体に特有のエネルギー伝達のダイナミクスの解明が期待できる。 解析の結果、Hall電磁流体におけるエネルギー伝達の機構は、磁場と速度場の間のエネルギーの伝達においては、規格化したエネルギー伝達函数スペクトルで比較を行うと、時間的にほとんど変化のない定常な状態にあることが示された。これに対して慣性項による速度場内でのエネルギーの伝達、Hall項による磁場内でのエネルギー伝達を解析すると、これらは時間とともに減衰することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電磁流体中のエネルギー伝達の機構について、フーリェスペクトルを用いた解析が進展し、エネルギー伝達の時間発展の傾向が見えてきた。しかし磁場、速度場の組織構造のウェーブレットによる抽出解析のプログラムの開発がまだできていない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は課題の最終年度として、速度場、磁場の組織構造のウェーブレットによる抽出に主眼を置く。特に可視化の技法の開発を行い、非線形輸送の解析との組み合わせを試みる。解析の主な構想は、非発散ベクトル値正規直交ウェーブレットの概念を疑似的に調和関数の空間にまで拡張することにある。これは多重解像度解析の技法を3次元のベクトル場に拡張するこころみであり、従来の研究の欠点を克服できると期待される。
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