研究概要 |
本研究では、金属ナノ粒子触媒に吸着した酸素分子による、炭化水素と有機分子の選択的酸化反応の機構を理論的に解明することを目的とし、特に金クラスターのサイズに依存した触媒活性に対する包括的な理論研究を推進する。金属ナノ粒子のサイズ、化学組成、構造、電荷状態を変えることにより、触媒反応をより効果的に促進、増強、制御することを想定し、触媒活性と金属ナノ粒子の構造、電子的・磁気的性質の相関を原理的に理解することに焦点を当てる。本年度は、金クラスター表面への分子の吸着と触媒活性化プロセスに対するクラスターサイズの依存性について、系統的な理論計算を行うことを計画している。理論計算にはDFT法を適用し、Gaussian09プログラムを用いる。本理論計算で特に重要となるのは、炭化水素と酸素分子が互いに近づこうとするクラスター表面上の活性点の探索である。本研究ではさらに、金クラスターにAl,Ag,Cuといった異種金属を混合して合金化することにより、クラスター構造、電子構造、触媒活性がどのような影響を受けるかについても調べる。純粋な金属クラスター、合金クラスター及び分子が吸着したクラスターの構造に対しては、クラスター融合アルゴリズムにより最適化計算を行う。DFT計算は研究代表者であるLyalinが行い、金属クラスターの電荷状態、スピン多重度については分担者である武次が予備的計算から算出する。本プロジェクトの予算で本研究の専用ワークステーションを複数台購入し、並列化して用いる。
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