研究概要 |
本研究では、金属ナノ粒子触媒に吸着した酸素分子による、炭化水素と有機分子の選択的酸化反応の機構を理論的に解明することを目的とし、特に金クラスターのサイズに依存した触媒活性に対する包括的な理論研究を推進する。金属ナノ粒子のサイズ、化学組成、構造、電荷状態を変えることにより、触媒反応をより効果的に促進、増強、制御することを想定し、触媒活性と金属ナノ粒子の構造、電子的・磁気的性質の相関を原理的に理解することに焦点を当てる。本年度は特にルチル型TiO_2(110)表面に担持された金ナノ粒子上における水素分子の解離吸着プロセスを詳細に調べた。対象とした金ナノクラスター(Au_n)のサイズはn=1,2,8,20である。クラスター上でのH_2分子の解離吸着には、ナノクラスターのサイズ、構造、クラスターの柔軟性、支持界面との相互作用が影響することが示された。ルチル型TiO_2(110)界面の担持効果により、金クラスター上での水素分子の解離が促進される。得られた計算結果は、春田らによる実験結果(T. Fujitani et al, Angew. Chem. Int. Ed., 48, 9515 (2009))をよく説明する。また無欠損、及び欠損を含むh-BN支持面の金原子及び金2量体の触媒活性について研究を行った。金原子と担持体の相互作用が弱い場合にも担持体の効果は現れることを示した。我々は特に無欠損及び欠損を含むh-BN表面への金原子及び金2量体の吸着プロセス、Au/H-BNとAu_2/h-BNにおける酸素分子の活性化、担持された金原子及び金2量体上における酸素分子の解離について研究を行った
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