研究概要 |
本研究では,ラジカルイオン二量体や二量体分子系(シクロファン類)のラジカルイオン・2価イオンの赤外吸収スペクトルを測定し,分子間での電荷移動を誘起する分子振動モードの観測と電子-分子振動相互作用の解析を推進する.平成22年度に行った主な研究課題は,次の3項目である. 1.高純度不活性ガス精製装置付グローブボックスの中での,共役ラジカルイオン・2価イオンの赤外吸収・電子吸収スペクトル測定法の確立 非常に高い不活性ガス精製能力(水分・酸素ともに0.1ppm以下)を有するグローブボックスシステムにフーリエ変換赤外分光光度計と紫外・可視分光光度計を設置し,共役ラジカルイオン・2価イオンの赤外吸収スペクトルと電子吸収スペクトルを精密に測定するシテムを製作した. 2.[3n]シクロファン類のラジカルカチオン・2価カチオンの赤外吸収スペクトルの測定と電子-分子振動相互作用の解析 二量体分子系の最初の研究対象として,[3_4]シクロファン(4つの橋架けアルキル鎖の炭素数が3)をとりあげ,そのラジカルカチオンの赤外吸収スペクトルの測定と解析を行った. 3.低温で二量化したラジカルイオン二量体の赤外吸収スペクトルの測定と電子-分子振動相互作用の解析 これまでに電子吸収分光法と電子スピン共鳴法から低温での二量化が報告されている,オリゴチオフェンのラジカルカチオンを研究対象として,その赤外吸収スペクトルの測定と解析を行っている.
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