本研究は、DNA/RNA を構成する核酸塩基の一部を S または N に置換した置換核酸塩基の励起状態および緩和・反応過程を調べ、新たな光線力学療法の基礎となる知見を得ることを目的とした。励起置換核酸塩基は、通常核酸塩基とは大きく異なる励起三重項状態への項間交差が主な緩和過程である。その電子励起状態と緩和過程の相関を議論し、量子化学計算を用いて緩和ダイナミクスを調べた。また、長波長の光による励起の可能性を探るため二光子吸収スペクトルの測定を行うとともに、一重項酸素の生成過程や反応についても知見を得た。
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