研究概要 |
結晶中において水素原子位置の無秩序化が生じる強い水素結合の静的構造と動的構造を明らかにする目的で、単結晶X線回折と窒素および塩素核四極共鳴(NQR)の測定を広い温度範囲で行った。対象とした系は、クロラニル酸-ピリジン(アミン)類およびクロロニトロ安息香酸-ピリジン(アミン)類である。主な成果は、 (1)クロラニル酸-モルフォリン(1/1)化合物中で形成される一次元水素結合鎖における水素原子の無秩序化と塩素核四極共鳴周波数の温度変化異常との関係の解明 (2)クロラニル酸-ピロリドンおよびクロラニル酸-ピペリドンの(1/1)と(1/2)結晶における水素結合様式の解明 (3)クロラニル酸-5,5'-ジメチル-2,2'-ビピリジン(1/1)とクロラニル酸-1,5-ナフチルリジン(1/1)化合物の窒素核四極共鳴周波数の温度変化測定による、反強誘電相-常誘電相転移機構の解明 (4)クロラニル酸-ピリミジン(1/1)一水和物における固相転移機構の解明 (5)水素原子の無秩序化を伴う短いN...H...O 水素結合を有するクロロニトロ安息香酸-キノリン及びクロロニトロ安息香酸-フタラジン化合物系の発見である。
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