研究課題/領域番号 |
22550015
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲富 雄一 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 学術研究員 (70437747)
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研究分担者 |
本田 宏明 財団法人九州先端科学技術研究所, 研究員 (80404044)
眞木 淳 財団法人九州先端科学技術研究所, 研究員 (10404047)
高見 利也 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (10270472)
小林 泰三 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 学術研究員 (20467880)
青柳 睦 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (00260026)
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キーワード | 生物物理化学 / フラグメント分子軌道法 / 超並列化 |
研究概要 |
創薬などの分野での応用が期待されているフラグメント分子軌道(FMO)法のプログラム開発や超並列化などの高性能化を効率よく行うために、計算化学だけでなく計算機科学などの専門家が参画しやすい環境を構築するため、FMO計算の主要計算部分(カーネルコード)である2電子積分や2中心クーロン積分などの各種分子積分モジュールのプログラムインターフェイス(API)を定義した。電子状態計算プログラム開発の困難さの1つが分子積分モジュールの統一性のなさにあるため、これによって、分子積分コードを用いる上位のプログラムの開発が容易になると考えている。APIの設計を行い際に、最近、高性能計算(HPC)分野で注目されているGPGPUの効率的なメモリアクセスパターン(コアレスアクセス)を用いることを考慮した。また、分子積分モジュールを複数の階層に分離して、各階層のモジュールに対してAPIを設計した。これによって、分子積分モジュールの高性能化作業を、特定の階層に集中させることが可能となる。 次に、作成したAPIに基づいて、各種分子積分モジュールを作成した。作成したのは、通常の電子状態計算で必要となる2電子積分、1電子積分(重なり積分、運動エネルギー積分、核-電子引力積分)だけでなく、FMO計算に特有の4中心(3中心、2中心)フラグメント間クーロン積分のモジュール、および、カットオフテーブル計算モジュールである。計画通り、今年度は並列化等を行っていない逐次実行のためのモジュール開発が終了した。この分子積分モジュールは、上位の電子状態計算プログラムの作成にそのままも通ることもできるし、並列化やプロセッサアーキテクチャに合わせた最適化などを行う元となる。上位プログラムの開発と分子積分モジュールの最適化を分離して行うことが可能となるため、高性能な電子状態計算プログラム開発の期間を短縮することに貢献できる。
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