表面凝固(Surface Freezing ; SF)とはバルク液体の凝固点よりも数℃高い温度(表面凝固温度Ts)において、バルクは液体でありながら、表面に凝縮膜(固体膜)を形成する現象である。SF現象では、液体/空気表面における二次元固体膜の形成や分子の混和性を主に膜形成分子間の相互作用で議論できるという点で有用である。本研究では室温付近に融点を持つ、アルカンやアルコールの混合系を採用し、表面張力法およびX線反射率法による巨視・微視両観点からSF現象や表面での分子の混和性について検討を行った。表面組成や表面剰余熱力学量の算出、電子密度プロファイルの決定により、鎖長差が1つである同族列アルカンやアルコールは表面においてほぼ理想的に混和すること、フルオロカーボン鎖を有するハイブリッドアルカンやアルコールはSL層においてドメインを形成すること、さらに、アルコール混合系でのSF二分子膜では上層と下層で分子の分配が異なるヘテロな構造をとることなどが明らかとなった。
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