研究課題/領域番号 |
22550029
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 和弘 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60375607)
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キーワード | オレフィンメタセシス / 閉環 / ビアリール / エンインメタセシス / ルテニウム / グラブス触媒 |
研究概要 |
ビアリール化合物は、液晶を始めとする機能性材料や生理活性物質、錯体触媒の重要な構成要素など多くの用途に利用されている重要性の高い化合物であるが、現在主として用いられているこれらの合成法は二分子の芳香族化合物をカップリングさせる方法である。しかしながら、原料の芳香族化合物の入手が容易ではないために、本手法で合成することが困難なビアリール化合物が多数存在する。そこで、このような需要の高いビアリール化合物の合成法を刷新する全く新しい方法論の開発を行うことを目的として本研究プロジェクトを開始した。昨年度の研究では、思惑通りに研究が進展し、分離困難な副生成物を全く排出せず単一生成物のみを与える強力なビアリール化合物の直截的な合成アプローチを開発することができた。そこで、本年度は本手法をヘテロ環を含むビアリール化合物の合成に応用すべく新たな検討を行った。 まず、ヘテロ環を含むビアリール化合物を合成するための基盤技術としてインドール類の単環構築法の開発に着手した。具体的には、閉環オレフィンメタセシス(RCM)/脱水、RCM/互変異性化により五員ヘテロサイクルを原料として、インドールを得る手法の開発を行った。その結果、目論み通りにインドールの新たな合成法を開発することができた。本法は、五員ヘテロサイクルを原料として縮合する六員カルボサイクルの構築を行うアプローチであるため、従来の既存ベンゼン誘導体から五員複素環の構築を行う方法論とは異なったタイプのインドールを得る事ができる利点をもつ。今後は、二環連続構築するための仕掛けを施した鎖状基質に対して閉環エンインメタセシス(RCEM)/RCMの連続環化反応を行うことでインドール骨格をもつビアリール化合物の合成を目指す。 また、本研究プロジェクトを展開する過程で、エチレンガスによる阻害効果を利用する環サイズ選択的RCMも見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ヘテロ環を含むビアリール化合物の合成に着手し、単環構築法の開発に成功した。予定の二環連続構築を現在進めており、おおむね順調に進展している。また本年度は、計画以上に進展したこととして環サイズ選択的なRCMを見出す事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発したインドールの単環構築法を二環連続構築法へと発展させる。まずは、単環構築法をRCEMに応用し、必要なデータを得る。昨年度の研究で、カルボサイクリックなビアリール化合物の合成はすでに達成しているため、ヘテロビアリール環に関する研究の視界は良好である。
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