研究課題/領域番号 |
22550033
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
谷 敬太 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60207165)
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研究分担者 |
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50301239)
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キーワード | カルバゾール / カルバゾロファン / 面不斉 / シクロファン / 光学分割 / CDスペクトル / エキシマー / キロプティカル特性 |
研究概要 |
カルバゾール誘導体はイオン化ポテンシャルの小さい芳香族アミンに属することからドナーとして作用し、その高分子体であるポリ(N-ポリビニルカルバゾール)が光電導性を示すとともに青色の蛍光を発することから、「ホール輸送」と「発光」に優れた機能性材料として注目を浴びている。最近では有機ELや太陽電池への応用も期待されている。以上のような背景に基づき本研究では、カルバゾール発色団のカチオンラジカル状態ならびに励起状態の電子物性についてカルバゾール系シクロファン(カルバゾロファン)を用いて調べた。特に、架橋鎖の短いカルバゾロファンでは、構造が堅固であるため二つのカルバゾール環がらせん状に重なった面不斉が発現すると予想し、それらの電子物性およびキロプティカル性質について検討することにした。 二架橋系カルバゾロファン([3.n](3,9)カルバゾロファン,n=2,3)の部分重なり型1n、および完全重なり型2nの合成を行い、これらを分離精製した。さらに、シアンアミド体とニトロスルホンアミド体の部分重なり型をキラルカラムにより光学分割を行った。いずれの部分重なり型カルバゾロファンも二成分に分離できることがわかった。これらの二成分のNMR,融点などの物性はすべて等しい一方、CDスペクトルでは鏡像関係にあることがわかった。以上のことから、部分重なり型を有するシアンアミドおよびニトロスルホンアミド架橋体1nの光学分割に成功したと判断した。CDスペクトルから、短波長側のコットン効果は△εで150M^<-1>cm^<-1>を超える大きな値であった。さらに、光学分割した1_3のニトロスルホンアミド体の単結晶が作成でき、その絶対構造を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルバゾロファンの供給は順調に進んでおり、ドナー性が高いことを確認した。カルバゾロファン集合体としてのポリマー化に向けて適切な官能基変換が進んでいること、さらに面不斉を明らかにすることができたので当該区分と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
カルバゾロファンのドナー性や面不斉を考慮しながら、カルバゾロファン集合体としてのポリマーの合成反応を行う。得られたポリマーの電子物性や光物性を解明し、高機能カルバゾール誘導体の開発へと繋げる。研究代表者と分担者の役割もおおむね申請書通りに進んでおり、複素環とカルバゾールあるいはカルバゾロファン連結系も合成し、その物性を各種スペクトルから評価する。
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