研究概要 |
カルバゾール発色団の二量体構造をより詳細に調べるため、架橋部位に芳香族アミンを有する新規なカルバゾロファン誘導体の合成を検討した。その結果、ブロモメチルカルバゾリルアルカン誘導体とアニリンのような芳香族アミンから一段階でカルバゾロファンが合成できることがわかった。さらに、ベンゼンを核とするデンドリマー的な構造有するカルバゾール集合体も、ベンゼン環のオルト、メタ、パラ位、1,3,5位、および1,2,4,5位でカルバゾール部位と連結させることにより合成した。 合成した種々のカルバゾール誘導体の光物理的性質を電子吸収から調べた結果、[3.3](3,9)カルバゾロファン骨格ではエキシマー蛍光が観測された。さらに、それらのドナー性は対応するモノマー体よりも高いことが明らかになった。 架橋および連結部位にアミド結合を用いた場合の構造的な特徴を温度可変NMR測定から調べた。カルバゾロファンとデンドリマー的な構造有するカルバゾール集合体のいずれでも、室温ではアミド周りの自由回転がほぼ止まっている一方、約100℃以上の高温では回転していること(回転障壁が約17kcal/molと見積もられる)ことがわかった。 以上の、電子物性、光物性、電気物性ならびに構造的な特徴は今後の機能性カルバゾール誘導体構築に向けての基礎物性として重要と考えられる。
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