研究概要 |
Mn(OAc)3を酸化剤(触媒)として用いるラジカル反応は、基質および試薬の濃度、反応温度、圧力、雰囲気、反応時間などの反応条件に左右されることを、我々のこれまでの研究で明らかにした。そこで、平成23年度に確立した反応条件をもとに、新しい基質を用いて複素環を含むバタフライ型有機過酸化物の合成を行った。 ①反応温度はMn(III)錯体のラジカル反応を考慮し、室温とした。また、反応を効果的に行うために、反応温度を50℃以上に上げない定温装置を取り付けたマイクロ波式有機反応実験装置を用いた反応も同時に検討した。②空気中の酸素を取り込みやすくするために、室温でエアーバブラーを取り付けた反応装置で実験を行った。③圧縮酸素(2~50気圧)の効果を調べるために、オートクレーブ装置(15 kg/cm2~200 kg/cm2)を用いて15気圧まで使用可能なガラスリアクター中で反応を行った。④濃度依存性を調べるために、高濃縮条件から高希釈条件まで、それぞれの条件下で本反応を調べた。⑤複素環-1,3-ジカルボニル化合物はそれ自身 Mn(OAc)3触媒有酸素酸化反応によって直接ヒドロペルオキシ化されるかもしれないと思われたので、アルケン類を加えない複素環-1,3-ジカルボニル化合物自身の Mn(OAc)3触媒有酸素酸化反応も詳細に検討した。⑥各種反応基質によるこれまでの有酸素酸化反応をそれぞれ比較検討し、ヒドロペルオキシ化反応とエンドペルオキシ化反応の選択性を決めるファクターが何であるかを考察した。⑦合成できた新規ヒドロペルオキシド類について、各種生理活性試験を外部に委託し、調べてもらった。⑧バルビツール酸類から合成した安定型ビス(アルキルヒドロペルオキシド)類を有機酸化剤として用いたアルケン類のエポキシ化反応やアルコール類の酸化反応、フェノール類の酸化反応などの酸化反応を検討した。
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