• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

高周期不飽和クラウンエーテルの分子修飾と機能発現

研究課題

研究課題/領域番号 22550042
研究機関首都大学東京

研究代表者

清水 敏夫  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (50192612)

キーワードクラウンエーテル / 不飽和環状化合物 / 分子修飾 / 包接挙動 / ホスト・ゲスト化学 / チアクラウンエーテル
研究概要

本研究では、研究代表者が今まで研究してきた不飽和および飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルの機能性材料への応用を目指し、置換基を導入する足掛かりとしてベンゼン環が縮環した不飽和ベンゾチアクラウンエーテルの合成を試み、その基本的性質および銀イオンとの錯形成能を検討した。
その結果、ベンゼン-1,2-ジチオラートとシスジクロロエテンとの反応により、縮環したベンゼン環とシス二重結合を交互に併せ持つ18員環不飽和ベンゾチアクラウンエーテルをベンゾジチインと共に得ることに成功した。また、部分構造を予め合成することにより、環化収率を上げることに成功した。ベンゼン環には予め官能基を導入しておくことが可能であるので、この研究により、ベンゼン環上に官能基を有する不飽和ベンゾチアクラウンエーテル合成が可能となった。この18員環化合物は結晶でありX線結晶構造解析により結晶構造を明らかにした。その結果、硫黄原子は全てほぼ平面上にあり、三つの硫黄が内側を向き、ベンゼン環が外側に開いた丸く薄い構造をしていることがわかった。また、その基本的物性として、酸化還元挙動および紫外吸収スペクトルの測定を行った。CV法により調べた酸化電位を、既に合成に成功している対応する非縮環不飽和チアクラウンエーテルおよび飽和不飽和混合系チアクランエーテルの酸化挙動と比較することにより、その酸化特性を明らかにした。また、紫外吸収スペクトルは対応する最小員環(ベンゾジチイン)と比較し特徴を調べた。18員環不飽和ベンゾチアクラウンエーテルと銀イオンとの錯形成を調べたところ、トリフルオロ酢酸銀と1:1錯体を形成することがわかった。X線結晶構造解析により、二つの18員環の間に二つの銀イオンが挟まれた構造であることも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H23年度の最後には、不飽和ベンゾチアクラウンエーテルのベンゼン環上への置換基の導入に取り掛かる予定であったが、得られた化合物の物性および錯形成を検討することを先に行ったため、順番が逆になった。しかし、やがては行う必要のある研究であるため、24年度の計画を調整することにより、全体としての計画に遅れは出ていないと考えている。

今後の研究の推進方策

研究はおおむね順調に進展しており、今後は、他の員数の不飽和ベンゾチアクラウンエーテルの合成と置換基の導入を行い、その物性および錯形成を検討し、その特性を元に機能化を目指す。また、平行して飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルの合成を行い、不飽和系との特性の違いを明らかにする。この計画を遂行するにあたっての大きな問題点は無いと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis and Stereochemistry of Thiacrown Ethers with Unsaturated Bonds2011

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T.; Komatsuzaki, S.; Kuwahara, J.; Hirabayashi, K.
    • 雑誌名

      Phosphorus, Sulfur, Silicon and the Related Elements

      巻: 186 ページ: 1225-1228

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis, Structure, and Complexation Behavior of 14- and 28-Membered Partially Unsaturated Thiacrown Ethers2011

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T.; Komatsuzaki, S.; Hirabayashi, K.
    • 雑誌名

      Heteroatom Chemistry

      巻: 22 ページ: 287-293

    • 査読あり
  • [学会発表] 不飽和ベンゾチアクラウンエーテルの合成、構造と性質2012

    • 著者名/発表者名
      村上舞, 奈良博美, 平林一徳, 清水敏夫
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-25
  • [学会発表] 不飽和ベンゾチアクラウンエーテルの合成、構造と物性2011

    • 著者名/発表者名
      清水敏夫, 奈良博美, 村上舞, 平林一徳
    • 学会等名
      第38回有機典型元素化学討論会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県)
    • 年月日
      2011-12-07
  • [学会発表] 不飽和ベンゾチアクラウンエーテルの合成、構造と錯形成挙動2011

    • 著者名/発表者名
      清水敏夫, 奈良博美, 平林一徳
    • 学会等名
      第7回ホスト・ゲスト化学シンポジウム
    • 発表場所
      広島大学(広島県)
    • 年月日
      2011-05-28
  • [図書] Science of Synthesis Knowledge Updates (p.493-502)2011

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T.
    • 総ページ数
      542
    • 出版者
      Thieme

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi