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2011 年度 実績報告書

トリプチセン骨格を利用した平行型分子歯車の高度分子設計

研究課題

研究課題/領域番号 22550048
研究機関岡山理科大学

研究代表者

豊田 真司  岡山理科大学, 理学部, 教授 (80207646)

キーワード平行型分子歯車 / トリプチセン / Sonogashiraカップリング / 分子設計 / ビアントリル / DFT計算 / 温度可変NMR
研究概要

分子機械の回転機能制御に関する基礎的研究として、トリプチセン骨格を3枚歯部品に用いた平行型分子歯車を設計した。昨年度に合成した基本化合物をもとに、高度な歯車機能をもつ化合物およびトリプシセン骨格以外の歯車部をもつ化合物を合成した。
歯車機能の高度化については、1,8-置換アントラセンを土台部に用いて、異なる歯車軸長をもつ分子と環状分子を研究の対象とした。2つのトリプチシル基をアセチレンとジアセチレンのリンカーで連結した化合物を、Sonogashiraカップリングを鍵反応として合成した。軸ずれに伴う歯車の噛み合いとリンカーの変形を、DFT計算により評価した。環状化合物としては、トリプシル基を4個含む大環状化合物を合成することができた。DFT計算および温度可変1H NMR測定の結果から、環化により歯車間の相互作用が強められていることが明らかになった。
9,9'-ビアントリル骨格の構造的特徴を活用して、疑似4枚歯の歯車部品として分子歯車に組み込んだ。従来の方法で合成した9,9'-ビアントリルを臭素化続いてエチニル化し、この歯車部ユニットをアントラセン土台部に連結した。2つのビアントリル基はある程度かみ合い、非常に速く回転していることが明らかになった。上記と同様な環状化合物も合成し、回転速度に及ぼす影響を調べた。
いずれの化合物においても、分子が大きくなるにつれて溶解度が急激に減少し、精製や測定に問題が生じた。溶解性向上のために従来長鎖アルキル置換アントラセンを土台部に用いてきたが、効果をさらに高めるために新しい可溶性置換基として3,5-ジアルコキシフェニル基を導入した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年次計画に沿って、これまで2年間に基本的な化合物の合成法を確立し、歯車の機能を高度化するための研究を行うことができた。

今後の研究の推進方策

高度な歯車機能および複雑な構造もつ化合物をさらに合成し、本研究課題で提案した平行型分子歯車の特徴を提示する。歯車機能の応用についても検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Construction of Higher 1,8-Anthrylene-Alkynylene Structures : Synthesis, Structures, and Conformational Analysis of Cyclic Hexamer and Dodecamer2011

    • 著者名/発表者名
      S.Toyota, 他
    • 雑誌名

      Bull.Chem.Soc.Jpn.

      巻: 84 ページ: 829-838

    • DOI

      doi:10.1246/bcsj.20110121

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Construction of Belt-Shaped Macrocyclic Structures with Anthracene Units and Acetylene Linkers and Resolution of Chiral Derivatives2011

    • 著者名/発表者名
      T.Ishikawa, 他
    • 雑誌名

      Bull.Chem.Soc.Jpn.

      巻: 84 ページ: 729-740

    • DOI

      doi:10.1246/bcsj.20110066

    • 査読あり
  • [学会発表] 大環状構造における2つのトリプチシル基の側面立体障害と動的挙動に及ぼす効果2012

    • 著者名/発表者名
      白川英治
    • 学会等名
      第92日本化学会春季年会
    • 発表場所
      慶応大学(神奈川県)
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] 4つのトリプチシル基を組み込んだ大環状化合物の合成と構造2011

    • 著者名/発表者名
      白川英治
    • 学会等名
      第5回有機π電子系シンポジウム
    • 発表場所
      ホテルアゥーナ大阪(大阪府)
    • 年月日
      2011-11-25
  • [学会発表] トリプチセンを利用した平歯車型分子の設計:大環状化による歯車軸の平行配列2011

    • 著者名/発表者名
      白川英治
    • 学会等名
      第22回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県)
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] Construction of Novel Architecture from Anthracene Units and Acetylene Linkers2011

    • 著者名/発表者名
      Shinji Toyota
    • 学会等名
      14th International Symposium on Novel Aromatic Compounds (ISNA-14)
    • 発表場所
      Eugene(アメリカ)(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-25
  • [備考]

    • URL

      http://butuyu2.chem.ous.ac.jp/

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公開日: 2013-06-26  

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