研究概要 |
3元系金属リッチテルライドA-M-X(A=磁性イオン;M=Nb,Ta;X=Se,Te)を固相反応により、様々な条件下で合成した。このような組成をもつ化合物としては擬一次元構造を有するLnxNb6×8・(Ln=希土類元素)などが知られているが、得られた試料についてX線回折により生成相を調べたところ、今回合成を行った条件下では、類似の組成をもつ化合物が主相として得られた。しかしながら、副相として希土類オキシテルライドなども生成していた。 予備実験として、電気伝導性、磁化、比熱測定を行い、この化合物が金属的でCurie常磁性を示すことを明らかにするとともに、Rietveld解析によって得られた結晶構造パラメータを用いて電子構造計算も行った。 また、LnxNb6Te8の組成をRietveld解析から求めたところ、希土類イオンLnの含有量xは0.25~0.3程度と小さかったため、xを増加させるために、テルルの一部をプニクトゲンで置換した化合物の合成も試みた。その結果、希土類イオンの含有量が弱冠増えたものの、不純物量も増加した。これらの試料についても物性測定を行ったところ、希土類イオンがランタンの場合には、超伝導転移を示し、伝導電子間に弱い電子-電子相互作用が働いていることが明らかにした。この超伝導転移は、比熱測定の結果から、不純物によるものではなく試料由来のものであることが分かっている。 また、電子構造計算より求まった電荷密度分布から、ニオブ-テルル間、ニオブ-ニオブの結合性について評価したところ、一次元鎖を形成しているNbTe6八面体間には、Nb-Nbに金属結合が存在していることを明らかにした。現在、合成条件を変更することで、より純良な試料の作成を試みているところである。
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