研究課題/領域番号 |
22550053
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 伊佐務 東北大学, 金属材料研究所, 技術補佐員 (20005987)
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研究分担者 |
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20281983)
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
梶原 孝志 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80272003)
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キーワード | ウラン錯体 / f1、f3電子配置 / 一軸対称性 / 配位子場分裂 / β-ジケトン、フタロシアニン |
研究概要 |
我々の研究からウラニルV価(UO2+)とウラニルVI価(UO22+)のβ-ジケトン錯体はウランに対して類似の配位構造を示すことがわかっている。ウラニルVI価が5f0であるのに対し、ウラニルV価は5f1の電子配置を持ち、5f遷移金属の中で最も基本的な電子配置を持つイオンの1つである。ウラニルV価錯体の構造とそのf電子に起因する物性に関する研究は、価数安定性の低さから十分ではない。基本部位としてβ-ジケトンであるアセチルアセトン(Hacac)を用い、2つのHacacをスペイサーでつないだテトラケトン配位子を用いて、ウラニルV価錯体と同様の配位構造を示すウラニルVI価錯体の結晶構造の検討を行った。分子内でのウラン原子とテトラケトン配位子の比が1:1である単量体ではなく、2:2の二量体の構造を取っている。テトラケトン配位子に2つあるβ-ジケトン単位部分が別々のウラニルイオンに配位しており、ウラニルイオンには2つのテトラケトン配位子が配位している。ウラン原子は五方両錐の配位構造である。ウラン原子と酸素原子の結合距離はその他の報告されているウラニルVI価β-ジケトン錯体と同程度の結合距離である。ウラニルイオンの結合角はウラニルの特徴である180°に近い。結晶中でのウラニルの軸方向はすべてそろっており、分子内ウラン間距離は7.448~15.011Åでスペイサー部位により制御できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
一軸方向性の配位子場の制御方法として、新種の配位子を用い、隣接する2つの一軸性錯体間の距離、角度、対称性を制御する方法を考案した。この方法論を開発は、今後の研究に資するものである。
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今後の研究の推進方策 |
ウラン+6価、トリウム+4価(以上f0配置)、ウラン+5価(f1配置)、ウラン+4価(f2配置)、ウラン+3価(f3配置)のようにf電子数が増えていく順で、複雑さを増す配位子場を検討していく。
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