研究概要 |
本研究では,ビイミダゾールを配位子とするハーフランタン型複核錯体モジュールとする一次元鎖の構築を目的に研究を行っている.平成22年度は,主にモジュール錯体の合成を目的として研究を行った. 1. ロジウム錯体の合成[Rh_2(RCO_2)_4」(R=Me,Pr,^nBU,^tBu)とビイミダゾール(H_2biim)を種々の溶媒中で加熱したところ,ほとんどの溶媒中では不溶な赤色固体が得られた.これは反応溶液から得られた単結晶のX線構造解析から,ビイミダゾールがアキシャル位に配位し,一次元状になった[Rh_2(RCO_2)_4(H_2biim)]_nであると考えられる.これに対し,1,2-ジクロロエタン中で還流し,これにHCl/MeOHを加えると,[Rh_2(RCO_2)_4](R=Pr,^nBU)を原料としたものから,[Rh_2(H_2biim)_2(RCO_2)_2Cl_2](R=Pr,Bu)を得た.この錯体の単結晶X線構造解析を行い,Rh-Rh距離が2.525(4),および2508(3)Aとなり,これまで報告されているハーフランタン型錯体と同程度の値であった. 2. 白金錯体の合成 単核白金(II)錯体[PtI_2(H_2biim)]を既知の方法により合成し,この錯体に架橋配位子となるカルボン酸RCO_2H(R=Me,Et,^tBU)を反応させると,一般的な溶媒(水,アルコール,アセトンなど)に不溶な沈殿が生成した.さらに,[PtI_2(H_2biim)]をAgNO_3と反応させ,[Pt(NO_3)_2(H_2biim)]とし,これとカルボン酸を反応させたが,やはり難溶な生成物が得られただけだった.
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