研究概要 |
本研究では,ビイミダゾールを配位子とするハーフランタン型複核錯体モジュールとする一次元鎖の構築を目的に研究を行っている.平成23年度は,前年度に合成したロジウム錯体モジュールの改良とその性質の調査,および,一次元化の予備実験を行った. 1.ロジウム錯体 錯体[Rh_2(H_2biim)_2(RCO_2)_2Cl_2](R=Pr,Bu)に関して,合成の途中で加えるHCl/MeOHを,NaPF_6に変更し,これにピリジン(py),ピコリン(Mepy),アセトニトリル等を加えることにより,軸位に中性配位子が結合した[Rh_2(H_2biim)_2(RCO_2)_2L_2](PF_6)_2(L=MeCN, py,Mepy)を合成した,これらは,まだ良好な単結晶は得られていないが,^1H NMRにより生成を確認している.これらをKOHと反応させると,ほとんどのもので難溶性の化合物が得られた.[Rh_2(H_2biim)_2(BuCO_2)_2(Mepy)_2]^<2+>に関してのみ比較的溶解性のあるものが得られ,^1H NMRより脱プロトンした[Rh_2(H_2biim)_2(BuCO_2)_2(Mepy)_2]と考えられた.また,これらの酸化還元電位の測定から,還元は,<-1.0V vs Fc^+/Fcで起こるため,還元種を安定に単離することは困難と考えられる.錯体の電子状態に関してGaussian03による計算を行ったが,配位子間が大きく開いてしまうなど,実際の構造とは大きく異なるため検討が必要である. 2.白金錯体 アミダートを配位子とする錯体,白金(III)複核錯体を原料とした合成など今年度試みた方法に関しても,すべてで不溶な沈殿が得られ,白金錯体に関してはビイミダゾール配位複核錯体の合成は困難と考えた.
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