研究概要 |
大気中へのCO_2の排出削減は、人類にとって危急の課題であり、また政府の削減目標に対して化学分野の担う役割が大きいことは言うまでもない。CO_2を炭素資源として化学変換する方法に、水素による還元がある。本研究では、複数のH_2を活性化できる金属錯体触媒の開発を目標とし、得られるポリヒドリド金属錯体を使ってCO_2をメタノールに変換することを目指す。本課題においては、新規に開発した大環状2核白金錯体を用いて、両白金上への水素の導入反応条件の検討、および生じるポリヒドリド錯体を用いたCO_2との反応を調べることを第一の目標とする。第2にこの結果を踏まえて、触媒反応化のための条件検討を行う。第3に、これら基礎的データを基に配位子骨格の改良および、他の金属中心を用いることへと展開を図る。既に合成法を確立している大環状配位子に対して、2つの白金中心を導入し、次いでヒドリド錯体への変換およびCO_2との反応の検討を行う。この結果を踏まえて触媒反応化を目指す。 本年度は,申請者が開発した配位子に0価の白金を導入した錯体を合成し、この白金上に複数の水素分子を酸化付加させることで各金属に水素分子を導入することを図った。2核白金錯体の合成法として、Pt(PPh_3)_3などの0価の錯体と大環状配位子との反応を行い,Pt(PPh_3)を2ユニット内包した錯体を得た。この錯体に対し,PPh_3の引き抜き剤としてをBH_3を水素気流下で加えると,内包された2つのPPh_3が段階的に脱離するのが確認でき,同時に2分子の水素が,各Pt上で活性化した錯体が得られることが判った。現在,この錯体に対してCO_2を反応させる方法を検討している。
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