研究課題/領域番号 |
22550071
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
平山 直紀 東邦大学, 理学部, 教授 (20260557)
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キーワード | イオン液体 / キレート抽出 / 中性錯体 / 荷電錯体 / イオン交換 / 脱水和 |
研究概要 |
イオン液体キレート抽出系における優勢抽出種を安定化させる因子の探求という観点から、以下に示す研究を実施した。 1.配位不飽和中性錯体を安定化させる因子に関する検討 2-テノイルトリフルオロアセトンによる3価ランタノイドイオンの抽出において、水分子が結合していないという前年度の成果についてさらに詳細な解析を行い、あらかじめ合成した水和錯体をイオン液体に溶解した場合でも脱水和が起こることを確かめた。この結果は、水分子とイオン液体構成イオンとの間で配位子交換もしくはそれに類する反応が生じていることを示唆するものである。 一方、キレート試薬にイミダゾリウム構造を組み込んだ抽出剤を用いた場合の2価遷移金属イオンの抽出増大効果を評価したところ、イミダゾリウム構造と錯形成部位との距離が近い場合の方が高い増大効果を示した。このことから、錯体中心近傍での電荷状態が抽出特性に何らかの寄与をしていることが示唆された。 2.配位飽和陰イオン性錯体を安定化させる因子に関する検討 多量の塩化物イオンが共存する条件下で2価遷移金属イオンのイオン液体キレート抽出を行ったところ、一定の抽出増大効果が見られた。通常の有機溶媒を用いる場合には逆に抽出抑制効果が現れることを考慮すると、イオン液体系では「配位不飽和錯体であっても抽出される」という考え方が正しく、安定な配位飽和荷電錯体が形成される場合にはむしろその形でイオン交換抽出される方が有利であると思われる。この点についてはさらに詳細な検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
配位不飽和中性錯体を安定化させる因子に関する検討を中心に、一定の研究成果が得られていると評価できるため。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的検討については一定の成果を得ていることから、計画最終年度には、さらに基礎的検討を推し進めていくとともに、さらにこれらの成果を応用面で生かしていくための指針を得たいと考えている。具体的には、イオン液体系特有の新たな分離系の構築を視野に入れていきたい。
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