研究課題/領域番号 |
22550072
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
陳 競鳶 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50311676)
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研究分担者 |
青木 幸一 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80142264)
西海 豊彦 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10377476)
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キーワード | 水素ガス / 気水界面 / 光散乱 / ラテックス / 微小電極 / 油水界面 / 遠心分離 / エマルション |
研究概要 |
電気化学および光学的検出できる巨大荷電ラテックス或いは液滴を巨大生体分子の模倣体とし、自然に起こっている過程を模倣することにより、制御因子を見出すことが本研究の目的である。2011年度実施した研究結果は以下である。 1.光散乱光の強度はポリスチレンラテックスの懸濁液濃度に比例することを証明した。粒子の巨視的な分布だけではなく、濃度に関する定量的な検量線が得られた。 2.ラテックス粒子の代わりに水素ガスの気泡に注目した。水素を水にバブリングしたとき、前年度の油水界面での自発乳化と同様に、安定した泡として水中に存在することが分かった(論文1)。 ●光散乱による測定結果では、気泡の直径は400~500nmで、9時間安定だった。遠心分離をかけたとき、50gは安定していた。 ●水素気泡を含む溶液のボルタンメトリーでは、酸化ピークが現れた。その電流値は光散乱光の強度に比例した。ボルタンメトリー電流により溶液中の水素濃度を正確に決定できた。 ●気泡溶解反応に関する動的データが、微小電極の利点を利用して拡散電流から得られた。反応速度は溶解速度によって制御された。溶解速度定数は2×10^<-8>mol s^<-1> cm^<-2>で、気泡/水界面の線形移動速度に換算すると0-4mm s^<-1>だった。 ●密閉容器中の水素の電極酸化反応が、気泡の溶解によって供給された水和水素分子によって引き起こされたことが分かった。 3.拡散制御電流の齋藤理論式を検討するため、ガラス封入した超微小円盤電極を作製した(論文3)。電極のサイズをSEMにより決定した。電極の直径と電流との関係では、直径5μm以上の電極が齋藤式に従ったが、2μ以下の電極では電流が齋藤式の値より小さくなった。この現象を定常状態拡散でのフィックスの第一法則のメモリ拡散の観点から説明した。論文4は目に見えない超微小電極の形状と拡散電流の関係を、SEM、およびボルタンメトリーにより定量的データを基にして明らかにした。楕円と円盤の拡散電流の見積もり差は4%だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラテックスに基づく実験による油水界面の自発乳化を見つけた。エマルションの分析法を開発した。更に、水素ガスの電極反応機構を実験により解明し、気泡の溶液中の準安定性を実験データによる証明した。気泡の電気化学/光散乱分析法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
ラテックスに基づく実験による分析法の改善 エマルションの分析法の発展 油水界面の自発乳化に類似実験をガス水界面、金属液体界面に推進;気泡の電気化学/光散乱分析法の発展 超微小電極(ナノ電極)の電気化学分析。
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