研究課題/領域番号 |
22550073
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
吉田 裕美 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40314306)
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研究分担者 |
前田 耕治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00229303)
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キーワード | 分析科学 / 反応・分離工学 / 電気化学 |
研究概要 |
本研究では、水相(移動相)と有機相(固定相)を薄層にした液液界面電気化学フローセルを開発し、電位操作で水相と有機相間の分配係数を連続的に変化させながら分離するクロマトグラフィー、すなわち電位変調電解抽出クロマトグラフィーを実現し、新規分離法の原理を提案することを目的としている。平成23年度は、以下の項目について研究成果を得た。 [フローセルに適した有機薄膜の改良ユ 液液界面電気化学フローセルでは、水相と有機相を50μm程度まで薄層にする必要がある。有機相の薄層は、多孔質テフロン膜に有機相を含浸させることによって作成するが、従来用いていた塩化炭素系有機溶媒は揮発性が高く、安定に有機薄膜を形成することが困難であった。そこで、塩化炭素系有機溶媒に代わる溶媒として、低揮発性の有機溶媒10種を選び、同溶媒中の電極特性について調べた。その結果、エーテル系有機溶媒2種が、液液界面電気化学フローセルに適していることを見出した。 [液液界面薄層電解フローセルの製作] 上記有機溶媒を用いて、水相と有機相を薄層にした液液界面電気化学フローセルを作成した。水相の流路を形成したスペーサー、有機薄膜を、銀塩化銀電極と導電性高分子被覆電極で挟み、全体を有機シリコン系樹脂で固めた。同セルを用いて、水相と有機相間の電解抽出を行った結果、ほぼ100%の電解効率で電解抽出が実現できた。現在、同セルを用いて、電位変調電解抽出クロマトグラフィーの検討をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規測定法を実現するための電解フローセルについては、すでに開発に成功しており、その評価も概ね完了している。また、電位変調電解抽出についてもすでに実験が進行しており、分離度が低いものの、本研究で提案している分離法が実現可能であることを示唆するデータも得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に必要とされる要素技術については、原理的に可能であることが確認できているが、より実用に耐えうる結果を得るためには、開発した液液界面薄層電解フローセルの流路長、薄膜の膜厚、移動相の流速などについて、最適化をしなければならない。最終年度においては、加工を専門とする技術者と協力し、より精微なフローセルを製作し、最適条件を明らかにする。一方、研究成果の論文発表が遅れているので、最適化に必要なデータを蓄積し、迅速に論文発表をしたいと考えている。
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