(1) シリカモノリスの表面修飾に用いる量合反応の反応条件とカラム性能の関係の検討 カラム内ポリマーコート法において、重合時のモノマー濃度を段階的に高くした場合、糖、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ペプチド等の高極性化合物の保持が段階的に向上することと、モノリス流路に生成するポリマーによってカラムの洗浄が不可能になる限界濃度が存在することが分かっている。ある置換基を有するメタクリレートモノマーを使用した場合、この限界濃度が過去の研究例より著しく高くなることが明らかになった。シリカモノリスを調製する際のバッチを同じ条件で揃えたもの、異なる条件で調製したものを混在したものについてそれぞれ重合修飾を行ない、同じバッチ間では保持の値が再現性良く調製可能なことが示された。この系については市販のカラムを上回る保持、分離特性が得られたため、特許化の途中である。 ポリマー結合量を段階的に変えたモノリスカラムをセットで調製し、糖鎖等高極性化合物に対するそれぞれの分離性能(分離時間、圧力当たりの理論段数、ピーク対称性など)について検討するため、これまで無かった親水性相互作用クロマトグラフィー条件下でのカラムテスト法を確立した。既に投稿済みであり、近いうちに発表の予定である。 (2) 重合修飾法による高分子韻の分子量解析と分離性能の相関関係の検討 シリカ上に結合しているごく微量の高分子鎖の特性を解析するのは容易ではない。MALDI-TOF MSによる分子量測定を試みた。まだ合成高分子のMS測定法自体が確立していないため、検討中である。 シリカモノリスカラムの調製で得られた知見を、粒子充填型カラムに展開し、ポリマーコート型の親水性相互作用型カラムも調製した。現時点では保持の大きさが予想を下回っており、その原因を調査している。
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