試料の屈折率をモニターすることで全ての物質を計測対象とし、光の干渉現象を利用することで超高感度を実現する汎用の化学計測法を構築することを目指す。平成23年度に新たにアイデアを創出(位相計数法:仮称)して装置を試作した。これは新規な楔形セルでの光干渉における位相変化を信号とする手法で、屈折率を一意に得ることはもちろん、環境揺らぎをキャンセルできる手法である。交付申請書の計画に沿ってH24年度の実績を以下に示す: ○CCD検出器をPCに接続して信号を実時間で取り込み解析できるシステムを試作する計画については、信号である干渉縞の映像信号を取得することができた。○エタノール水溶液の濃度を変化させて位相が変化する様子を実時間で検出する計画については、濃度を増減させ、かつその増減の速度を変えて模擬実験を行った結果、実時間計測が可能であることが示された。○計測パラメータを変えたときの信号の挙動をシミュレーションと比較して装置を充実させる計画については、まず干渉計を最適化してシミュレーションにより近い干渉縞を形成できた。またセルの小型化などを行って高速実時間計測を可能にした。○セル長を大きくして検出限界の可能性を調べる計画については、現在のシステムで検出限界を0.022%エタノール水溶液と求められた。これは屈折率で10-5以下の領域にあり、市販の汎用屈折率計では識別不可能な濃度である。○信号取り込みと解析のコンピュータプログラムの試作を行う計画については、そのアルゴリズムを作成した。○位相計数法の発展が望めない場合、当初の3つのアイデアで模擬実験を試みる計画を立てていたが、現在のシステムの発展性が期待されたため実施する必要が無いと判断した。 写真撮影というバッチ式測定ではあるが、新規な位相計数法の性能を示すことができた。信号の自動取得が可能になれば実用化も期待できると考えている。
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