研究課題/領域番号 |
22550078
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
菅原 一晴 前橋工科大学, 工学部, 教授 (30271753)
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キーワード | キチン / キトサン / アビジン-ビオチン間結合 / ラベル化 / 乳酸菌 |
研究概要 |
キチン-キトサン膜表面の機能化に対する電気化学的評価:タンパク質-リガンド間結合を評価するために、細胞外マトリックの一つであるキチン-キトサン複合膜で被覆した電極を作製した。複合膜の主構成成分はキチンであるが、副成分のキトサンに架橋剤をかいしてリガンドを修飾した。リガンドのモデルとして、ビオチン部位を導入し、ビオチンと特異的に結合するアビジンを固定化することで複合膜に新しい機能をもたせる試みを行った。アビジンの固定化の評価には、電極活性物質でラベル化したビオチン(LB)をプローブとして合成しボルタンメトリー的手法を用いた。アビジンが固定されたビオチン修飾膜被覆では、固定化に関与しなかったビオチンに対するアビジンの結合サイトにLBが取り込まれるためLBの電流値が減少した。従って、複合膜表面でアビシン-ビオチン間結合が起きていることが明確となった。本手法は種々のタンパク質-リガンド間結合をモニタリングする反応場となりうるものと考えられる。 電子伝達媒体修飾キチン-キトサン膜被覆電極による生体分子のセンシング 低融点性タイプのアガロースにキチン・キトサン・カーボン粉末を添加した複合材料を作製して、キチン表面に乳酸脱水素酵素を静電的相互作用に基づいて固定化した。乳酸菌の代謝物である乳酸を乳酸脱水素酵素によりピルビン酸に変換する際に、酵素反応に必要とされるニコチンアミドアデニンヌクレオチドを架橋剤によりキトサンに修飾し、その電極応答から乳酸菌培養過程をモニタリングする方法を開発した。さらに、カーボン粉末を加えることで感度の向上をはかり生体適合性の高い素材を組み合わせた複合材料をデザインし、バイオセンシングに応用するための基礎的条件の検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体高分子複合膜に生体分子を導入する手法を提案し、複合膜に新たな機能をもたせる本研究は、タンパク質-リガンド間結合や微生物の足場となるものであり、それらの有用性を示すことができている。また、生体分子間相互作用をモニタリングするための素材として、多くの可能性を含むものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究計画においては、カーボンプレートやマイクロビーズ表面にタンパク質や金属錯体などを固定化し、それらに選択的に結合するタンパク質を導入した機能化素材の開発を目指す。特に、各素材の特性に基づいたタンパク質のセンシングシステムの構築をはかり、汎用性の高い電気化学的測定手法とする予定である。
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