研究概要 |
本研究では規則配列構造体を微少液滴反応における固相反応場として用い,インクジェットにより送達した微少試料の迅速反応・分析を更に発展させ実用的な生化学分析の実現をめざす。単一分散ナノビーズを用いた規則配列構造体ドットの安定な形成方法の確立とこれを用いたセンシング技術の確立は分析化学的にも大変意義深い。インクジェットを用いて微少液滴反応場を形成し,迅速・高精度な生化学分析を行うために次の検討を行った。1)インクジェットの吐出特性の検討:これまでの知見を元に,インクジェットにより種々の液体試料,及び規則配列構造体作製のためのナノビーズ懸濁液を,定量的に,目的位置に正確に吐出するための基礎的検討を行った。試料として種々の濃度の緩衝液,抗体・酵素などのタンパク質含有溶液などの水溶液,0,1~10%のナノビーズを懸濁した溶液を用い最適条件をもとめた。2)インクジェットによるナノビーズの吐出と規則配列構造体の作製単分散ポリスチレンナノビーズ,シリカナノビーズ懸濁液をインクジェットによりPDMS基板表面に吐出し,規則配列構造体ドットを作製した。ナノビーズの分散性について詳細に検討し,インクジェットでの安定な吐出を実現できた。また,規則配列構造体を調製する際,溶媒の蒸発に伴う毛管力を制御するため,湿度制御し,ナノビーズの粒径,ビーズ懸濁液の濃度,溶媒,温度などの自己組織化・規則配列特性に影響を及ぼす種々の因子について検討し,最適化した。必要な強度を確保するため,ビーズ相互を連結した構造体を作製した。このビーズ相互の結合には加熱融着を行い,再現性の高い固定化方法を確立できた。3)単分散ナノ粒子の合成:フォトニック結晶のストップバンドを制御し,配列性や表面修飾を容易にするため,100~400nmの単一分散コロイダルシリカナノビーズの粒径制御・合成に成功した。
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