1. マイクロチップ検出器(MD)を用いるシーケンシャルインジェクション(SIA)法を用いて、試薬液の組成や試料溶液のホールディングコイルへの注入量,送液速度などを検討して、陰イオン性界面活性剤(AS)の定量のための最適条件を見いだした。 2. SIAIIのホールディングコイル(HC)にキャリヤー溶液を満たした後、空気、AS溶液の順に吸引を行った。この試料溶液を濃縮カラム(CC)に一定量送液し、CC内に試料溶液を吸着させた。吸着後の溶液を廃棄した後、SIAIのHC内をキャリヤー溶液で満たし、続いて空気と溶離剤であるアセトニトリルを吸引した。その後アセトニトリルをCCに送液し、吸着させた試料溶液を溶離させた。この溶離溶液をSIAIIのHC内でキャリヤー溶液と拡散混合させMDに送液し、試料溶液導入後のASセンサとAg/AgBr電極間の電位差を、イオンメーターによりピーク状信号として測定した。 3. ASの濃縮率に及ぼすCCへの送液速度の影響を検討した。AS溶液 1250 μLをCCに濃縮させ、75wt%アセトニトリル62.5μLで溶離させた。分析時間を考慮してMDへの送液速度として20.8μL/sを用いた。次にASの濃縮率に及ぼすCCへ導入する試料溶液の体積の影響を検討した。種々の体積のAS溶液をCCに濃縮させ、75wt%アセトニトリル62.5μLで溶離させた。ASの濃縮倍率を理論的濃縮率と比較した結果、MDの試料溶液導入体積を2500μLとした。以上の条件下において、開発したSIA法により、CCを用いることで、1×10-7M~3×10-6Mの濃度範囲のASが濃縮、溶離の時間も含めて1試料当り15分の分析速度で自動分析できた。また、河川水中に加えた既知濃度のASの回収率は90-110%であり、本法はこの種の実試料に適用可能であることが分かった。
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