研究概要 |
【リアルタイムモニタリングの実施】粒径1 μm以下の大気粉塵を直接プラズマ(ICP)に導入し、ICP-MSを用いて2.5分の間隔でリアルタイムモニタリングを2011年11月9日、16日及び12月12日、13日に実施した。 【回収率の補正】粒径1 μm以下の大気粉塵をサンプリングしている時に、一部の大気粉塵をフィルター上に捕集し、大気粉塵中の金属元素を定量した。リアルタイムモニタリングで観測された信号は、脱溶媒装置を取り付けた超音波ネブライザーを用いて定量した。モニタリングデータをフィルター捕集のデータで割り、金属の回収率を求めた結果、V, Co, As, Mo, Sb ,Tl, Pb等の酸化物の融点の低い元素は回収率が良いのに対し、Tl, Cr, Mn, Ni, Cu, Zn, Sn, Ba等の酸化物の融点の高い元素は回収率が低かった。この原因はプラズマの中に直接導入された大気粉塵が、完全に原子化されイオン化されていない為だと考えられる。リアルタイムモニタリングのデータは回収率を考慮に入れ補正を行った。 【発生源の推定】粒径1 μm以下の大気粉塵中に含まれる15元素(Ti, V, Cr, Mn, Co, Ni, Cu, Zn, As, Mo, Sn, Sb, Ba, Tl, Pb)の濃度を求めることに成功した。その結果、風向と元素の濃度に相関のあることが明らかとなった。南風が吹く時、V, Ni, Cu, Zn, Baの濃度は高くなり、Cr, Mn, As, Sn, Tlは北風が吹く時高くなる傾向が見られた。一方、Ti, Sbは南風が吹く時にも北風が吹く時にも共に濃度が高くなった。それらの結果を基に、重油燃焼(V, Ni)、金属工業(Co, Cu, Zn, Ba)、焼却場(Cr, Mn, As, Sn, Tl)、焼却場と重油燃焼(Sb, Pb)、土壌(Ti)等の起源を推定した。
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