インジゴ(和名:藍)にアルキル基を導入した化合物について黒鉛基板表面における吸着構造を走査トンネル顕微鏡にて観察した。ヘキサデシル基を導入したインジゴでは二分子が対向した二量体が三個連なった構造を基本ユニットとしてこれらが少しずつずれて配向した表面構造を形成することを明らかにした。また、この構造は表面に特有のキラリティーを示すこともわかった。表面上の別の場所において反対のキラリティーを示すドメインの観察にも成功した。 一方、アルキル基がイコシル基になると表面構造がなかなか安定しなかった。この場合、分子が配列した構造が複数のドメインを形成し、そのドメインが成長したり収縮したりすることを繰り返しながら、徐々に表面構造が安定化した。その動的な挙動を観察したところ、同一の表面キラリティーを有するドメイン間の境界は比較的速く変化するのに対し、異なるドメイン間の境界はほとんど変化しないことを見出した。
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