研究課題/領域番号 |
22550083
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
村松 宏 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (20373045)
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キーワード | 抗ガン剤 / スクリーニング / 水晶振動子センサー / 培養細胞 / 共振周波数 / 共振抵抗 |
研究概要 |
本研究では、迅速、簡便に抗ガン剤のスクリーニングを行うための基盤技術の開発を目的とし、水晶振動子センサーを用いて、培養細胞の状態をリアルタイムでモニタリングし、抗ガン剤の効果を効率的に調べる技術の開発を進めている。基本的な方法としては、透明電極を形成した水晶振動子センサー上で細胞培養を行い、細胞の形態観察と同時に、水晶振動子センサーの共振周波数と共振抵抗測定を行い、細胞の状態変化の傾向を分析する。本研究では、(1)迅速、確実なスクリーニング技術を確立するための多チャンネル型の実験システムの構築、(2)評価実験における培養細胞の培養条件の明確化、(3)細胞変化の判定基準の明確化、(4)再現性向上技術の開発の4つの観点から検討を進めている。 本年度においては、実験システムの構築において、昨年度構築した多チャンネル測定システムにおいて、測定の安定性を計るため、測定セルの改良を行い、顕微鏡観察を同時に行うためのビデオ信号の切り換え回路をPCから自動的に動作させるためのプログラムを開発し、顕微鏡用の照明も同期させることで、自動的に連続測定が行えるようになった。さらに、抗がん剤のシスプラチン、5-FUや細胞毒性のある物質を用いて、実験を進め、抗がん剤については、高濃度の添加では、急激な細胞死による共振周波数の増加がみられ、低濃度の抗がん剤添加においては、濃度に依存して、細胞増殖の抑制による共振周波数減少の鈍化を確認した。センサー上の細胞接着処理の最適化においては、従来のコラーゲンコートに対して、アミノシラン処理、グリシン修飾、オリゴペプチド修飾について、細胞接着力の評価を行うため、細胞を培養したプレートを緩衝液中で回転させ、回転半径によって異なる液体の流速によって細胞の接着強度を評価する装置を作製し評価を行った。この接着強度と水晶振動子センサー上での細胞接着における、変化量の両面から評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定システムにおいて、インキュベーター内でのCCDカメラの故障などが発生しているが、改善策についてのめどが立っており、各検討項目とも、おおむね想定した範囲内で、研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、より多くの条件で、データを収集していくことが課題であり、このため、昨年度構築したシステムに加えて、さらに、別の実験システムの構築を進めており、これによって、実験体制を強化して、残りの研究期間での実験を加速する予定である。
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