研究課題/領域番号 |
22550084
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
矢野 和義 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40262109)
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キーワード | プロテオミクス / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光 |
研究概要 |
本研究では、ガラス基板上などに金属(銀)と誘電体(プラズマ重合体)の各薄膜を順次積層させたナノ構造基板を作製することで、その上に存在する蛍光色素からの蛍光強度を数十倍にも増強させることを目的としている。 平成22年度までに蛍光増強のための最適な条件を見出したので、それらを踏まえ平成23年度は、実際にさまざまな標的タンパク質をナノ構造基板に固定化し、それらを高感度に検出できるかを評価することにした。まずナノ構造基板上に抗原としてmouse IgGをさまざまな濃度で固定化し、Cy3標識抗mouse IgGを抗体として抗原抗体反応の検出を行ったところ、未修飾のガラス基板上においては検出できない濃度のmouse IgGを検出することができた。また、mouse IgGの濃度依存的な蛍光シグナルの変化も確認できたため、抗原抗体反応に由来する蛍光シグナルを増幅できることが示された。 さらに、炎症の血中マーカーであるC-reactive protein(CRP)に対するmouse由来またはrabbit由来の抗体を用いてCy3標識抗mouse IgG抗体による検出を試みた。その結果、抗CRP mouse IgGを固定化した部分においては濃度依存的な蛍光シグナルの変化が認められ、抗CRP rabbit IgGを固定化した部分においてはシグナルの変化が見られなかったため、Cy3標識抗mouse IgG抗体を用いて抗CRP mouse IgGを選択的かつ感度よく検出できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ構造基板上で蛍光シグナルの数十倍の増強が確認されており、さらに複数の抗原と抗体の組み合わせによるイムノアッセイが高感度に行われることが確認されたため。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ構造基板のメリットをより広げるため、さらにさまざまなイムノアッセイの高感度化をはかる。またイムノアッセイでより一般的なサンドイッチアッセイにも着手する。さらに蛍光増強現象がおこるフォーマットをさらに拡大させるため、96穴マイクロプレートに同様のナノ構造を構築し、同様の効果が認められるか検証する。
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