研究課題/領域番号 |
22550091
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤原 幸雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (60415742)
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キーワード | 表面・界面物性 / 分析科学 / 放射線、X線、粒子線 |
研究概要 |
近年、クラスターイオンを二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)における一次イオンビームとして用いることで、有機材料等を構成する大きな分子も検出できるようになり、半導体産業のみならず、化学分野等においても、SIMSの応用範囲が広がっている。 SIMS法における大きな課題の一つは、試料分子のイオン化率の向上である。一般的に、イオンビーム照射によって試料表面から脱離する粒子の殆どは、二次イオンではなく電気的に中性な原子や分子である。特に有機分子の場合には、電子衝撃を用いる電子イオン化やレーザー照射による光イオン化では、分子の解離が問題となるため、有機分子をソフトにイオン化する新しい技術が必要となる。一般的に、有機分子等の質量分析においては、外部からイオンを付加する手法がソフトなイオン化法として知られている。例えば、有機分子に1個のプロトンを付加することでフラグメントを抑制したイオン化が可能となる。 本研究は、試料分子の二次イオン化率を増大させるため、プロトン等のイオンを付加する手法を応用する。具体的には、水素や炭化水素等を含有する多価の帯電液滴を分析試料表面に照射することにより、二次イオン化率の向上を目指す。本年度は、水素や炭化水素等を含有する導電性液体に高電圧を印加して多価の帯電液滴を生成し、プラスの電荷を有する正極性の帯電液滴やマイナスの電荷を有する負極性の帯電液滴のサイズや価数分布を詳細に調べた。本成果は、二次イオン質量分析に関する国際学会において発表した。なお、本学会は、2年に1度開催される国際会議である。口頭発表は150件以上あり、2つのセッションがパラレルで行われ、170件以上のポスター発表もあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
帯電液滴生成に関する各種パラメーター依存性を詳細に調べ、重要なデータを取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
生成した帯電液滴ビームを有機試料等に照射し、試料表面から放出された二次イオンを質量分析する。
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