研究課題/領域番号 |
22550092
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 靖典 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30271646)
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キーワード | 選択的合成・反応 / 有機ホウ素化学 / 遷移金属触媒反応 / 機能材料開発 / 有機トリオールボレート塩 / クロスカップリング / 不斉付加反応 |
研究概要 |
有機ボロン酸は水、空気に安定で取り扱い易く合成試薬として優れているが、そのホウ素-炭素結合は化学的には不活性であることから遷移金属触媒による活性化が不可欠となる。しかしながら安定で取扱易い有機ボロン酸の中には炭素-ホウ素結合が切れ易く触媒的な合成反応に利用できない化合物もあり問題となっている。 本研究課題は、合成化学的利用が困難とされた2-ピリジンホウ素化合物類の利用を重要課題として、C-B結合の遷移金属触媒へのトランスメタル化を経由する有機合成反応の開発を計画した。新奇な有機ホウ素化合物として有機トリオールボレート塩の創製、遷移金属触媒反応への利用を中心に研究した。 1.有機ホウ素化合物の活性化 有機トリオールボレート塩の効率的な合成法としてこれまでの(1)、(2)に加えて(3)、(4)の合成法を確立し(3)に関しては特許出願および論文として報告した。 (1)有機ボロン酸を経る方法 (2)有機リチウム、マグネシウム試薬から直接合成する方法 (3)芳香族CH直接ホウ素化からの合成法の確立 (4)トリフルオロボレート塩からの合成法の確立 2.有機トリオールボレート塩の炭素-炭素結合形成反応の開発 炭素-炭素、炭素-窒素結合形成クロスカップリング反応、不斉付加反応に利用した。特に各種反応におけるトリオールボレート塩の対カチオンの影響、各反応の最適化を行った。特にピリジントリオールボレートを用いたカップリング反応では、塩化物との反応に成功した((3))。トリオールボレートの反応性を活かした選択的なカップリング反応に成功した((4))。 (1)クロスカップリングによるオルト置換ビアリールの合成 (2)ダブルカップリングによるジアリール置換アレーンの合成 (3)2-ピリジントリオールボレート誘導体を用いたオルト置換ビアリールおよび芳香族塩化物とのカップリング反応 (4)トリオールボレート塩を用いた選択的カップリング反応
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りトリオールボレートの合成法の確立により、様々な種類の化合物を合成可能になった。特にヘテロ芳香族トリオールボレート塩は31種類を合成できた。これにより、ターゲット分子に応じたトリオールボレートを迅速に合成することにより、革新的な炭素-炭素結合形成反応の開発を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度最終年度を迎えるが、アルキル、アルケニル、アルキニル型のトリオールボレート塩を合成し、種々の炭素-炭素結合形成反応に利用する。特にメチル、トリフルオロメチル及び光学活性アルキルトリオールボレート塩の合成を行う。
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