| 研究概要 |
ＨＷＥ反応はホスホネート試薬とアルデヒドなどからα,β-不飽和エステル類を与える反応で、分子内反応からは大環状不飽和ラクトンが得られる。しかし、Ｚ選択的ＨＷＥ試薬を分子内反応に用いてもＺ体は低収率、低選択性で得られることが多い。本研究ではＨＷＥ試薬の構造と反応条件の検討から高Ｚ選択的分子内ＨＷＥ反応の開発を行い、開発した方法でMacrolactin Aの全合成を行うことを目的とした。その結果、前年度までに高い選択性、高収率でZ-α,β-不飽和大環状ラクトンを合成する方法の開発に成功した。本年度はこの知見をもとにMacrolactin Aの合成研究を行った。鍵反応となる分子内ＨＷＥ反応についてはα,β-不飽和アルデヒドを持つホスホネート試薬を合成し、その分子内ＨＷＥ反応を行なった所、飽和アルデヒドを持つホスホネート試薬の分子内ＨＷＥ反応と同じ条件では選択性の低下がみられた。種々塩基の検討を行った結果、tBuOKを1.2当量用いることにより高いＺ選択性で大環状ラクトンを合成できることが分かった。Macrolactin A誘導体の合成に成功し、Macrolactin Aの全合成についていも途中まで進めることができた。
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