研究課題/領域番号 |
22550101
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40273586)
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キーワード | ルテニウム触媒 / ロジウム触媒 / パラジウム触媒 / 酸化的カップリング / 炭素―水素結合切断 / 縮合環形成 / パイ共役分子合成 |
研究概要 |
本研究の二年目にあたる平成23年度は、まずこれまでほとんど検討されてこなかったルテニウム触媒を用いる芳香族基質とアルキンあるいはアルケンとの酸化的カップリング反応について検討を行い、新規π共役分子合成反応の開発を行った。その結果、反応系を適切に設定することで、多様な芳香族基質の炭素-水素結合が位置選択的に切断された後、不飽和化合物の挿入が起こり、複雑なπ共役分子が一段階で効率良く合成できることが明らかとなった。得られた研究成果は、速報二報にまとめ、国際誌に掲載された。特筆すべきは、2-フェニルベンゾチアゾールの直接アルケニル化に初めて成功したことである。この基質の反応は、他の遷移金属触媒を用いた場合にはうまく進行しないことから、含硫黄ヘテロ環を有する基質の直接変換においてルテニウム触媒が有効であることが示唆される。一方で、これまで継続的に検討してきたロジウムおよびパラジウム触媒を用いた反応でも進展があり、それぞれベンジルアルコール類とアルキンとの酸化的環化およびチオフェンやインドール酢酸の直接アリール化反応の開発に成功した。さらに、これまで開発した触媒反応を駆使して、実際にベンゾジチオフェンをコアとするπ共役分子をいくつか合成し、紫外・可視光吸光および蛍光挙動などの光学的および電気化学的特性を調べた。このような分子は、今後有機トランジスタを始めとする有機エレクトロニクスへの応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、本年度はπ共役分子を効率よく構築するための方法を開発し、その手法に関する適用範囲等の情報を蓄積する予定であったが、予想以上に開発が行えたので、これらを実際に使って少し複雑な構造を有する含硫黄縮合芳香族分子を合成し、物性を調べるところまで進展できた。
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今後の研究の推進方策 |
このまま、新規π共役分子合成法開発とそれを利用した含硫黄π共役分子合成を平行して進めて行く予定である。特に、ルテニウム触媒を用いる酸化的カップリング反応については、本研究初年度に最初の反応が見出されたばかりであるため、その触媒作用についてはほとんど未開発である。そのような新規触媒系を用いて、新反応探索を行う。さらにこれまで見出した反応を用いて、より複雑なπ共役分子合成を試みる予定である。
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