研究概要 |
ビピリジニウム・ピリジニウム塩の骨格を有する化合物を電解還元して有機還元剤を発生し,炭素-炭素結合形成反応に用いることに成功した。ビピリジニウム塩に両親媒基を導入することにより,水中で利用することができることを見つけた。 (1) 両親媒性置換基であるポリエチレングリコ-ル基を導入したビオロゲンを合成し,これを用いて水中でパラジウム触媒を用いるハロゲン化アリールのホモカップリングによるビアリールの合成を検討したところ,良好な収率で対応するビアリールを得ることができた。現在,スルホン酸基・リン酸基・カルボキシル基を含む,より水溶性の高い有機還元剤前駆体が合成できたので,その炭素-炭素結合形成への検討を継続している。 (2) いくつかの4-置換ピリジニウム塩を合成し,有機還元剤前駆体として用いることを検討した。4-位にシアノ基やアルコキシカルボニル基などの電子求引基やフェニル基を有するピリジニウム塩は電解還元によりラジカルとなり,これが有機還元剤として機能した。4-置換ピリジニウム塩に両親媒基を導入し,水中でも利用できるように検討中である。 (3) (1),(2)では有機還元剤前駆体を当量以上用いてあらかじめ還元して用いる方法をとっていたが,有機還元剤の回収率が低いなどの問題があった。これらの有機還元剤前駆体を触媒量用いて,系中で電解還元して再生しながら利用する「メディエータ」型の反応を検討したところ,Pd 触媒を用いる芳香族ハロゲン化物の還元的二量化反応が進行し,相当するビアリール良好な収率で得られた。
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