研究課題
研究初年度である平成22年度は、高効率かつ高選択的にアマドリ転位反応が進行する糖鎖の分子デザイン、及び、酵素的配糖化における諸条件の検討を行った。アマドリ転位反応に関しては、これまでの研究成果により、グルコースの3位のヒドロキシ基の存在が重要であることが明らかになったことをうけて、3位デオキシ体の合成を行った。まずグルコースの3位デオキシ体の合成を試み目的化合物を得たが、水溶液中で相互に変換する異性体が4種存在した。この異性体を用いてアマドリ転位反応の解析を行うことは困難である事が予想されたため、次に、中間体までの合成法が報告されているマルトースの3-デオキシ体の合成に着手した。その結果、4工程を経てグラムスケールでの合成を達成した。次年度では、3-デオキシマルトースの低分子アミンに対する反応性及び生成物の構造ついて検討する予定である。酵素的配糖化の諸条件の検討においては、トリアジン誘導体型活性化糖(DMT化糖)による配糖化反応を検討した。まず、キトサナーゼによる配糖化について検討した。反応収率は10%以下程度と低いものの、酵素的にオリゴ糖に対するグルコサミニル化の進行を確認した。次に、α-N-アセチルグルコサミニダーゼによる配糖化反応について検討した。この反応は収率50%以上となり、優れた反応系であることが示せただけでなく、ムチン型オリゴ糖の簡便な合成法として提供できる。これまで、N-結合型糖鎖のみタンパク質への配糖化が可能であったが、今後、その他の糖蛋白質の合成へと寄与できるものと期待できる。
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