研究概要 |
1)溶解性を付与し構造解析を可能にするため長鎖アルコキシカルボニル基(C18)を有する置換キノジメタン化合物(1a)とパーフルオロフェノキシ基を有する置換キノジメタン化合物(1b)を合成し、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)との共結晶作成を検討した。1a/TCNQの共結晶は得ることが出来なかったが、1b/TCNQの共結晶は得ることができ、種々の検討からトポケミカル共重合することが分かった。しかし、有機溶媒に不溶であること、結晶構造解析可能に結晶が得られなかったため明確な構造についての知見は得られなかった。新規に合成したアセトキシエチル基を2,5位に有するTCNQ誘導体がメトキシカルボニル基を有する置換キノジメタン化合物(1c)との共結晶を形成することを見出し、その固相重合反応性と結晶構造解析を行った。結晶中での分子配列はトポケミカル共重合が起きた系と同様のスタッキング構造を取っていたが、重合は起きなかった。反応点の重なりの程度の違いによることが明らかになった。 2)プロキラルモノマーとして種々のアルキル基を7位に有する置換キノンメチド化合物を合成し、不斉配位子/アニオン開始剤系を使用した不斉アニオン溶液重合による不斉誘導を検討した。5種類のアルキル基(Me,Et,iPr,t-Bu)を有するモノマーの合成を行ったがiPr基を有するキノンメチド化合物のみが純粋なモノマーとして単離可能であった。また、そのモノマーの不斉重合を検討したところポリマー中に不斉が導入でき光学活性なポリマーが得られた。フェニル基を有するモノマーとは反対の光学活性を示し、7位置換基により制御様式が異なる可能性を見出した。固相重合を試みたが、重合は起きなかった。 3)光学活性置換基をエステル部位に導入した置換キノイド化合物を合成し、溶液重合するとポリマー主鎖中に不斉が誘起されることを見出した。しかし、光学活性置換基は嵩いため解重合が起き高分子量のポリマーは得らなかった。また、光固相重合ではポリマーは得られなかった。
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