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2011 年度 実績報告書

キノイド化合物を利用した固相重合反応と構造制御

研究課題

研究課題/領域番号 22550110
研究機関三重大学

研究代表者

伊藤 敬人  三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90126954)

キーワード結晶工学 / 高分子合成 / 超分子化学 / 分子性固体 / 固相重合
研究概要

1)溶解性を付与し構造解析を可能にするため長鎖アルコキシカルボニル基(C18)を有する置換キノジメタン化合物(1a)とパーフルオロフェノキシ基を有する置換キノジメタン化合物(1b)を合成し、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)との共結晶作成を検討した。1a/TCNQの共結晶は得ることが出来なかったが、1b/TCNQの共結晶は得ることができ、種々の検討からトポケミカル共重合することが分かった。しかし、有機溶媒に不溶であること、結晶構造解析可能に結晶が得られなかったため明確な構造についての知見は得られなかった。新規に合成したアセトキシエチル基を2,5位に有するTCNQ誘導体がメトキシカルボニル基を有する置換キノジメタン化合物(1c)との共結晶を形成することを見出し、その固相重合反応性と結晶構造解析を行った。結晶中での分子配列はトポケミカル共重合が起きた系と同様のスタッキング構造を取っていたが、重合は起きなかった。反応点の重なりの程度の違いによることが明らかになった。
2)プロキラルモノマーとして種々のアルキル基を7位に有する置換キノンメチド化合物を合成し、不斉配位子/アニオン開始剤系を使用した不斉アニオン溶液重合による不斉誘導を検討した。5種類のアルキル基(Me,Et,iPr,t-Bu)を有するモノマーの合成を行ったがiPr基を有するキノンメチド化合物のみが純粋なモノマーとして単離可能であった。また、そのモノマーの不斉重合を検討したところポリマー中に不斉が導入でき光学活性なポリマーが得られた。フェニル基を有するモノマーとは反対の光学活性を示し、7位置換基により制御様式が異なる可能性を見出した。固相重合を試みたが、重合は起きなかった。
3)光学活性置換基をエステル部位に導入した置換キノイド化合物を合成し、溶液重合するとポリマー主鎖中に不斉が誘起されることを見出した。しかし、光学活性置換基は嵩いため解重合が起き高分子量のポリマーは得らなかった。また、光固相重合ではポリマーは得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

溶液での重合は順調に進んでいるが、長鎖アルコキシ基を有する置換キノイド化合物からの共結晶が得られず結晶構造、固相重合が進んでいない。また、重合に適した配列に関する知見を得るために、新規に合成したテンプレート分子とキノイド化合物が共結晶を形成しないケースがほとんどで、テンプレート分子を用いてキノイド化合物を重合に適した配列に並べる検討が進んでいない。

今後の研究の推進方策

構造解析を可能にするためさらに異なる鎖長アルコキシカルボニル基を有する置換キノジメタン化合物を合成し、TCNQとの共結晶生成を調査する。さらに、TCNQ誘導体との共結晶生成についても検討を行う。共結晶が得ちれた場合には、それらの光、電子線照射下での固相重合と熱固相重合を種々の条件で調査し、重合反応生成物の解析を行う。
光学活性置換基をエステル部位に導入した置換キノイド化合物を合成し、光、電子線射下での固相重合と熱固相重合による主鎖中への不斉誘導を検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Asymmetric Anionic Polymerization of 7-Cyano-7-Phenul-1,4-Benzoquinone Methide2012

    • 著者名/発表者名
      R. Nakagawa, T. Uno, M. Kubo, T. Itoh
    • 雑誌名

      Polymer Bulletin

      巻: 68 ページ: 1831-1844

  • [雑誌論文] Asymmetric Anionic Polymerization of 7-Cyano-7-Alkoxycarbonyl-1,4-Benzoquinone Methides2012

    • 著者名/発表者名
      T. Nagai, T. Uno, M. Kubo, T. Itoh
    • 雑誌名

      Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry

      巻: 50 ページ: 468-479

    • DOI

      10.1002/pola.25054

    • 査読あり
  • [学会発表] 高共役モノマーの固相重合2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤敬人
    • 学会等名
      高分子学会東海支部東海シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(招待講演)
    • 年月日
      2012-01-13
  • [学会発表] エキソ炭素上にアルキル基を有するキノンメチド類の合成と重合2011

    • 著者名/発表者名
      原田、宇野、久保、伊藤
    • 学会等名
      第43回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
    • 発表場所
      信州大学工学部
    • 年月日
      2011-11-05
  • [学会発表] 電子吸引性基を有する7-アリール-2,6-キノンメチドの不斉アニオン重合による立体制御2011

    • 著者名/発表者名
      宇野、秋田、久保、伊藤
    • 学会等名
      高分子学会第60回高分子討論会
    • 発表場所
      岡山大学工学部
    • 年月日
      2011-09-29

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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