研究概要 |
前年度に引き続き,ポリスチレン側鎖からなり,主鎖にポリブタジエン構造を持つポリマクロモノマー(BS-PM)について研究をおこなった.側鎖重合度が20,主鎖重合度が175のBS-PM試料に可塑剤として約30%のポリスチレン3量体を混合したものに対し120℃で誘電測定をおこなったところ,角振動数10 rad s^<-1>付近に誘電損失ピークが観測された.このピークから計算された緩和時間は同サンプルに対する粘弾性測定から得た終端緩和時間の2倍とほぼ一致し,これより,この誘電緩和が主鎖に沿った双極子に由来すると考えられた.BS-PMの誘電損失データを分子量5.3×10^4(重合度780)のポリイソプレン(PIP)溶融体に対するデータと比較すると,緩和時間が約7.5倍となった.これより,BS-PMの主鎖が直鎖PIPに比べて伸びた・コンフォメーションを取っていることが示された.上の研究と平行して,主鎖,側鎖ともにポリスチレンからなるポリマクロモノマーの側鎖末端の主鎖剛直性パラメターλ^<-1>への影響について調べた.側鎖重合度が19の,末端にn-ブチル基を有するポリスチレンポリマクロモノマー(butyl-PS PM)を合成し,トルエン(15.0℃)およびシクロヘキサン(34.5℃)中の平均二乗回転半径のデータを解析し,λ^<-1>を決定した.得た値を同じ側鎖重合度の,末端にベンジル基を有するポリスチレンポリマクロモノマー(benzyl-PS PM)に対する値と比較したところ,トルエン中のλ^<-1>は両者で差が無かったが,シクロヘキサン中のbutyl-PS PMのλ^<-1>ユはbenzyl-PS PMの値の約1.5倍となった.側鎖ブチル末端セグメントと側鎖中間(ポリスチレン繰り返し単位)セグメント間の相互作用によるλ^<-1>への寄与を計算したところ,両ポリマクロモノマーのλ^<-1>の差の約半分となった。これより,butyl-PSPMのλ^<-1>には側鎖ブチル末端セグメントー側鎖中間セグメント間相互作用に加えて,他の相互作用が寄与していると考えられた.
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