研究課題
１．塩化π-アリルパラジウムを用いる重合開始剤における開始・停止機構の解明塩化π-アリルパラジウム(π-allylPdCl)を用いる開始剤系による、ジアゾ酢酸エチル(EDA)の重合の開始・停止機構の解明に成功した。π-allylPdClとボラート(NaBPh4)の混合物を開始剤系とした場合には、開始末端としてボラートに由来するPh基、停止末端にはHが結合したポリマーが得られ、π-allylPdClのみを開始剤とした重合では、開始末端にはπ-allylPdCl に由来するCl、停止末端にはやはりHが結合したものに加えて、溶媒として用いたテトラヒドロフラン(THF)が開環して結合したものも存在していることを、MALDI-TOF-MSによるポリマー末端の解析により明らかにした。これらの結果は、遷移金属錯体を開始剤とするジアゾ酢酸エステルの重合における開始・停止機構を解明した初めての例であり、今後の重合の制御を目指した研究における極めて貴重な知見となり得るものである。実際に、π-allyl骨格を基本として、これに各種の構造的な改変を施した配位子を有するPd錯体を用いた開始剤系による重合を行い、重合の立体制御の可能性を示唆する結果を得ている。２．ピレンを有するジアゾ酢酸エステルの重合により得られたポリマーの光物性ジアゾ酢酸エステルのエステル部にピレンを有するモノマーを合成し、その重合により、主鎖の全ての炭素にピレンが結合した構造のポリマーの合成に成功した。そのポリマーの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定したところ、ビニル重合により得られるピレンを主鎖の一つおきの炭素に有するポリマーに比べて、ピレン同士が高密度に集積していることを示す結果が得られた。これは今後の光機能性高分子材料の合成における重要な知見となるものである。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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