研究課題/領域番号 |
22550116
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
伊藤 和明 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80250950)
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キーワード | アニオン認識 / 検出試薬 |
研究概要 |
シアン化物イオンは極めて高い毒性を持つにもかかわらず、様々な工業分野で利用されている。そのため高感度で汎用性のあるシアン化物イオン検出試薬の開発が求められている。既に、幾つかのシアン化物イオン検出試薬が開発されているものの、高い選択性と水溶性を兼ね備えた例はない。 本研究では、シアン化物イオンの高い求核性と、他のアニオン類に比べ低い水和熱から水中あるいは水混合溶媒系でのシアン化物イオン検出試薬開発を目的とした。その際に活性化されたカルボニル基とオキシエチレン鎖を持つジアシルカルボヒドラジド誘導体およびトリウレット誘導体を合成し、その水溶性シアン化物イオン認識レセプターとしての機能評価を行うことを目的としている。 昨年度までに、ジアシルカルボヒドラジド誘導体の合成法を確立し、合成したレセプターのシアン化物イオン認識機能性評価を、UV-visスペクトル測定により認識機能の評価を行った。また、機能性の向上のため、レセプターの芳香環上に種々の官能基を導入したところ、特にニトロ基の導入により、認識に伴う著しい色調変化が起こり、極めて高感度なシアン化物イオン検出が実現した。溶媒としては、アセトニトリルやDMSOなどでは競合イオンによる影響が観測されたが、メタノール~90%含水メタノールまで溶媒極性を変化させても影響なく、選択的にシアン化物イオンを検出した。また、メタノール~90%含水メタノールの溶媒では、競合イオン存在下でもほとんど影響を受けず、選択的にシアン化物イオンが検出できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、ジアシルカルボヒドラジド誘導体およびその芳香環上に種々の置換基を導入した化合物の合成法を確立し合成条件の最適化をおこなった。また機能性評価を行い、水への溶解性では、90%含水メタノール中で十分にシアン化物イオンを検出できる試薬の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
シアン化物イオンの検出試薬としては十分なものを開発したため、次にシアン化物イオン付加後の化合物に抽出機能を付与するため長鎖アルキル基をもつ没食子酸誘導体を導入した化合物の合成及び機能性評価について検討を始めている。現在、シアン化物イオン存在下に置いて、合成した化合物のゲル化特性が大きく変化することを見出している。また、このゲルは熱可逆的なゾルゲル相転移を示す。この機能をシアン化物イオンの抽出および放出機能に結びつける研究を展開している。
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